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 金沢の浅野川に近い閑静な住宅街に、水曜の夜だけひっそりと開く隠れ家のような図書館がある。その名も「夜の図書館べーる」。うわさを聞きつけた本好きや読書通が集うという。物語でも始まりそうな期待感を胸に、館内に入った。

 昭和初期の金沢町家を改修した建物は風情があり、ノスタルジー漂う。玄関を開けると、6畳ほどの空間に天井までの高さの本棚が鎮座し、約3千冊の本が出迎えてくれる。小説、ビジネス書、専門書、漫画とジャンルは多岐にわたる。あっ、週刊少年ジャンプも。読書スペースが設けてあり、本を読むのも勉強するのも、利用方法は自由だ。

 図書館は4年前からあり、いまの館長の佐々木修吾さん(32)は金沢大学大学院地域創造学専攻の修士2年生で岩手県出身。もともと同大の理工学域で学び、東京でシステムエンジニアとして6年ほど働いた。30歳の時、再び大学で勉強したいと金沢に戻り、この図書館の担い手を探しているとゼミの先生に紹介された。オーナーから運営を引き継いだのは2017年9月。「本でつながるコミュニティー空間がおもしろそうだなと思ったんです」

 本は寄贈が多いが、自身の蔵書も並ぶ。伊坂幸太郎の「アイネクライネナハトムジーク」やビジネス書の「LIFE SHIFT」など好きな本を題材に、アクティブ・ブック・ダイアローグという読書会を開くこともある。本を裁断し、参加者それぞれが担当ページを要約、最後にみんなで意見をかわす。

 館内は静かな日もあれば、居合わせた人同士が仲良くなって話に花が咲く日もあるという。常連からは「教えたいけど、教えたくない場所と言われます」と佐々木さんは笑う。

 ここにいると、なんだか心が落ち着く。静寂というベールに包まれた夜の図書館は、本好きたちが集う隠れ家そのものだった。(近藤幸子)

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 〈案内〉 金沢市材木町。開館は水曜日の午後7時~10時半ごろ(変更もあり、ホームページで確認)。入館料200円。飲食物の持ち込み自由。問い合わせはメール(info@be-ru.net)かフェイスブック。