[PR]

 アフリカを経済的に席巻する中国。膨大な対中債務で苦境にあえぐ国が相次いでいる。第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が28日から始まる。この債務問題は、日本の支援を協議する上でも避けられない。

 西アフリカ・シエラレオネの首都フリータウンから車で2時間ほど。舗装された道路を外れ、赤土の道を進むと、ヤシの木の合間から巨大なプレハブの建物が現れた。青い看板に書かれた漢字が目に入った。

 「中鉄国際」

 中国の大手建設会社の子会社の名前だ。建物の中をのぞいても、人の気配はない。周りには草木が生い茂ったままだ。「新しい空港ができるはずだった。でも計画は中止になったんだ」と住民は言った。

 新空港建設は、前大統領時代に計画された。現地メディアなどによると、2018年2月、シエラレオネ政府は中国輸出入銀行からの融資を受け、中国の建設会社が22年までに完成させる契約を結んだ。費用は4億ドル(約425億円)の計画だった。

 だが、18年3月の大統領選で風向きが変わった。前大統領の後継者を破り、ジュリウス・マーダ・ビオ氏が当選。新政権は「新空港の建設を進めるのは経済的ではない」として同年10月、建設キャンセルを表明した。増大する対中債務に歯止めをかける出来事として注目を集めた。

「いずれすべて支配される」

 「インフラ投資によって、将来世代に借金のツケを回してはいけない。20年後、30年後まで高い金利を払い続けるような計画はしない」。ビオ大統領は今年6月、こう強調した。

 シエラレオネは02年まで10年以上にわたり内戦が続き、インフラ整備が遅れている。自力で開発を進めることが困難な中、中国が進出した。近年、多くの道路や橋などが中国資本によって建設された。米ジョンズ・ホプキンス大の研究機関によると、シエラレオネはこの10年間で、2億ドル(約210億円)以上の債務を中国から抱えたという。シエラレオネの重要な収入源である、ダイヤモンドや鉄といった天然資源開発にも中国企業の進出が目立つ。

 専門家は安易に中国からの借金を重ねることに危機感を募らせる。「短期的にはインフラが整い、中国資本は魅力的だ。ただ、それこそが『債務のわな』だ」とシエラレオネ大のイジキエル・ドゥラマニ・ラコ准教授(会計学)は警鐘を鳴らす。「中国頼みは、危険な甘い汁だ。長期的な視野を持って戦略を立てなければ、いずれ中国にすべてを支配されるだろう」(フリータウン=高野遼)