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 安倍晋三政権が、2度延期した消費税の引き上げをとうとう実施する。増税に野党は反対で、「税金」のありようが参院選の争点になりそうだ。景気への影響、財政再建といった議論の前に、まずは政治と税という「基本の基」から考えてみたい。国家、暴力、そして税金。長く思索を深めてきた萱野稔人さんに聞いた。

かやの よしひと 1970年生まれ。パリ第10大学大学院哲学科博士課程修了。津田塾大学総合政策学部長。著書に「国家とはなにか」「暴力と富と資本主義」

 ――国家は私たちから税金を取ります。そもそも近代国家とはどういう存在なのでしょうか。

 「学校では『主権、人民、領域が国家を構成する3要素である』と習います。正しいのですが、国家の真相を語るには不十分です。なぜなら、主権とは何か、国家を運営する統治機構とはどんなものか、という説明が必要で、なかなか国家の本質には迫れません。そこでポイントになる考え方があります。『現代の社会では、国家だけが、合法的に暴力を行使することが出来る』という点です」

 ――暴力を独占する存在だと。

 「そうです。国家は、強制力を持った組織を活用できます。日本なら警察や自衛隊、厚生労働省の麻薬取締部という組織です。個人にも、正当防衛など認められた範囲内で暴力を使うことができる場合がありますが、あくまでも法律で認める限られた状況だけです。何が合法か、合法でないか、すべて決めるのは国家なのです」

 「命すら奪われる死刑も、国家だけが許された殺人です。死刑が良い、悪いは別として、個人なら犯罪に問われる殺人と変わりがありません。しかし、この殺人は違法とは言われません。愛する家族が殺されても、敵討ちに殺した相手を家族が殺すことは法的に認められていません。それが出来る国家だけが暴力を独占しています」

 ――最大の暴力が戦争です。

 「戦争も同じです。かつて暴力団同士の紛争で多数が殺される事件がありましたが、あくまで非合法の私的抗争です。日本は戦争を放棄する憲法を持っていますが、世界では戦争をする国が標準的です。そうした国々は、暴力を国家が独占しているからこそ、戦争の主体になることが出来るのです」

 ――国家による暴力の独占は昔からあったのでしょうか。

 「そうではありません。国家が…

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