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 岐阜県北方町は26日、町立の小中学校4校を再編し、小中一貫の「義務教育学校」を2校新設する基本計画(北方学園構想)を発表した。子どもたちは同じ学舎で9年間学ぶことになる。

 2023年度の開校をめざすが、一部の町民らからは「慎重に検討してほしい」との声も出ている。

 基本計画では、町内を二つの地域に分け、「北学園」(仮称)は北方、北方西の2小学校と同校区内の中学生が一つになる形で、想定では1004人が通う。町立幼稚園と保育園を再編した「こども園」も入る。

 「南学園」(仮称)には、北方南小の校区から小中学生507人が通う想定となっている。

 県内の再編としては最大規模で、一つの中学校を二つの義務教育学校に分けるのは全国でも珍しいという。

 学園では、5年生から英語や図工、音楽などで教科担任が教える。9年間の一貫教育で、学習の先取りや学び直しもできるカリキュラムを検討する。

 構想の背景には、公共施設を減らし、将来の町の財政負担を避けるねらいがある。

 町の試算では、義務教育学校やこども園の整備など、学園構想にかかる費用は26億5千万円。一方、今のまま北方西小や幼稚園、保育園を維持すると、今後30年間で約32億円が必要になるとしている。

 町の一般会計予算は60億~70億円規模で、いずれも負担は小さくない。戸部哲哉町長は記者会見で「学園構想は教育的なメリットがある」と強調しながらも、将来の少子化に向けて「下水道などのインフラ整備をしなければならず、どこかを削っていかなくてはいけない」と説明する。

中学分かれ、部活は?

 構想は2017年12月、戸部町長が表明した。

 有識者や自治会、PTA関係者らでつくる検討委員会は今年3月、町民へのアンケートなどを踏まえて「推進していくべきだ」とする意見書をまとめた。

 意見書では、中学校が二つに分かれるため、移行期に同級生と離れる中学生がいることや、部活動の部員が減ることも指摘した。

 例えば、北方中の野球部員は16人(18年度)いるが、二つの校区に分かれたとすれば、南学園では3人だけ。バレー女子やソフトボール部も、部員が減って、2校で一緒に活動しなければ試合に出られない恐れがあるという。

 町民有志でつくる「北方学園構想を考える会」は今月20日、構想の再検討を求める署名358人分を町教委に提出した。

 考える会事務局の三浦真智さん(66)によると、署名は町内外から寄せられた。北学園をつくるために町道が使えなくなる▽中学校が分かれる▽教育の中身について十分な議論がなされていないなどの点に懸念が寄せられているという。三浦さんは「学校の制度を変えたからといって、いじめや不登校がなくなるわけではない。町はきちんと町民の声を聞き、慎重に検討してほしい」と話す。

 戸部町長は「学園構想は延べ3千人以上に説明している。町として、最大限の説明をしてきた」と話す。 検討委は意見書をまとめる前の段階でも、一般から意見を募った。ただ、事務局の町教委は「意見書は学園構想を進めるために委員会がまとめる提言。構想そのものに反対という意見は採用できない」と委員会で説明している。(高木文子)

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 〈義務教育学校〉 小学校と中学校の計9年間を共通の教育課程で学ぶ新しい種類の学校。2016年の法改正で制度化された。独自教科の設定や学習内容の入れ替えもできる。岐阜県内の義務教育学校は現在、桑原学園(羽島市、164人)、白川郷学園(白川村、116人)がある。いずれも小中各1校を再編した。