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 投資が失敗続きの官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構(A―FIVE)」は26日、株主総会を開き、前日に退任した元専務への退職慰労金の議案の採決を留保した。当初は約1400万円を満額支給する方針だったが、所管する農林水産省が再検討を求めたためという。外部の弁護士事務所に依頼して減額に相当する不適切な行為の有無を検証し、1カ月以内をめどに株主総会を再開して支給額を正式に決める。

 A―FIVEは昨年度までに92億円の累積損失を抱える。昨年10月には計約6億5千万円を投融資していた東京都内の会社が経営破綻(はたん)し、6億円超の損失を被った。元専務はこの案件の責任者で、同社の社外取締役も務めていた。

 A―FIVEの光増安弘社長は総会後の記者会見で、過去の調査でこの元専務に違法行為が見つからなかったことを強調。「減額規定に抵触するところは無い」と話した。自主返納も求めないという。

 一方、投資失敗への国民の批判が高まる中、農水省内では「元専務への退職慰労金の満額支給はできない」(幹部)との見方が強まっている。担当者は「減額は法的な問題だけでなく、企業統治上の問題があったかも含めて総合的に判断させる」としており、今後、A―FIVEとの対立が深まる可能性がある。

 一方、A―FIVEは26日、今は運用成績に関係なく、すべて固定額で支払っている役員報酬に業績連動を導入する方針を正式に決めた。今年度下期から導入する考えだ。コスト削減のために昨年度末に空席にした農水省からの「天下り役員ポスト」について、新たに出向者を受け入れることも決めた。農水省の担当者は、「社外取締役から、大株主の国から一人も取締役がいないのは企業統治上問題との指摘があったため」としている。(大日向寛文)