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 岡山大が見いだした遺伝子「REIC(レイク)」を使った新しいがん治療製剤と、がん免疫治療薬「オプジーボ」を併用し、悪性胸膜中皮腫に対する効果を調べる臨床試験が7月、米国で始まる。悪性中皮腫は治療法が少なく、特に再発患者では効く薬はほとんどない。仕組みが異なる薬を併用することで、効果が期待できるという。

 新製剤は、岡山大特命教授で新見公立大学長(岡山県新見市)の公文裕巳さんらが開発した。細胞に特定のたんぱく質を過剰に作り出させることで、がん細胞だけを殺し、かつ抗がん免疫を高める働きがある。前立腺がん患者を対象にした岡山大の臨床試験では安全性と効果が確かめられ、現在も臨床試験が進んでいるという。

 一方、オプジーボは、がん免疫を利用した新しいタイプのがん治療薬で、日本では2014年から公的医療保険の適用になった。仕組みを見いだした京都大の本庶佑特別教授は昨年、ノーベル賞を受賞した。

 今回の臨床試験は、岡山発のバイオベンチャー「桃太郎源」社(岡山市北区)が、米食品医薬品局の認可を得て中皮腫患者が多く集まる米・ベイラー医大で患者12人を目標に2年間実施する。

 同医大の研究者によるマウス実験では、それぞれを単独で使った場合でも、がん増殖はある程度抑えられたが、併用すると効果は大幅に増強された。

 オプジーボと他の製剤を組み合わせて抗がん効果を高める試みは世界中で多数模索されている。公文さんは「効く仕組みから考えると、私たちの製剤はオプジーボとの相性が抜群だと思う」と期待を寄せている。(中村通子)

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 〈悪性胸膜中皮腫〉 肺を包む膜にできるがん。主にアスベスト(石綿)を吸うことで起きる。吸入から平均で約40年後に発症するとされており、日本肺癌(がん)学会によると発生ピークは2030年ごろで、患者数は年間3千人と予測されている。手術だけで取り切ることは困難で、化学療法も標準的治療で効く患者は4割程度と、治療が非常に難しいがんの一つ。