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【アピタル+】患者を生きる・眠る「夜尿症」(おねしょ)

 子どものおねしょ(夜尿)が続くとき、どうしたらいいのでしょうか。昭和大学藤が丘病院(横浜市)小児科の池田裕一(いけだ・ひろかず)さん(50)に、受診のタイミングや夜尿症の治療について聞きました。

 ――おねしょと夜尿症はどう違うのでしょうか。

 寝ている間に作られる尿の量と、膀胱(ぼうこう)にためられる量のバランスがとれていないために出るのがおねしょで、小さな子ではよく起こりうることです。育て方などの問題ではありません。

 3歳~5歳くらいまでには膀胱が大きくなり、尿がたまると目を覚ませるようになります。そうすると、徐々におねしょはなくなっていきます。ただ、5歳を過ぎても1カ月に1回以上の夜尿が3カ月以上続く場合は、夜尿症と診断されます。

 ――夜尿症の原因は何ですか。

 寝ている間に作られる尿が多いことや、膀胱にためられる量が少ないこと、さらに睡眠の質に問題があり尿がたまっても起きられないことが原因になります。複合的な要因で起きている場合は、治療に時間を要することもあります。

 ――どんなときに受診すべきですか。

 小学生になっても毎晩のように夜尿が続く場合は、受診し、腎臓などに別の病気が隠れていないか、発達に問題がないかなどを調べておきましょう。尿検査や問診を行います。昼間の尿漏れや便の漏れがある場合には、もっと小さくても受診をお薦めします。

 排尿の機能が未発達なことによる夜尿症は、成長とともに自然に治ることもあるので、必ずしもすぐに治療を始めなければならないわけではありません。積極的に治療したいという気持ちがなければ、まずは生活習慣に気をつけ、定期的に受診しながら様子見でも構いません。

 ――普段の生活ではどんなことに気をつけますか。

 規則正しい生活が大切です。夕食は控えめに、就寝2時間前までに済ませます。水分は朝食と昼食でたくさんとり、夕食後はコップ1杯程度にしましょう。塩分や糖分の取りすぎにも気をつけます。冷えも膀胱の縮小につながるので、温かくしましょう。こういったことで、2~3割は夜尿がなくなると言われています。また、毎晩の夜尿の有無や、その時間帯を日誌につけていきます。

写真・図版

 こうした生活習慣の改善にしばらく取り組んでみて、夜尿がなくならなければ、より積極的な治療に移ります。

 

 ――どんな治療がありますか。

 アラームを使った治療があります。水分を感知するセンサー付きのパッドを下着につけ、尿が少し出るとアラームが鳴ります。アラームで気がついて尿を止めることを繰り返すうちに、膀胱にためられる量が増えていく効果が期待できます。3カ月くらいで効果が出てくることが多いです。ただし、保険適用ではありません。

 このほかに、夜間に作られる尿量を減らしたり、膀胱にためられる尿量を増やしたりする薬を使う治療もあります。

 ――宿泊行事はどう乗り切ったらいいでしょうか。

 短期的には、アラーム療法で夜尿が出る時間を把握し、当日は大人に起こしてもらう▽事前に宿泊行事と同じスケジュールで過ごしてみる▽薬を医師に処方してもらう、などがあります。また、普段行っている生活改善の取り組みを守りましょう。

 ――親はどう向き合ったらいいのでしょう。

 夜尿症は、夜中に無理に起こしてトイレに行かせても、治るものではありません。尿を濃くして量を少なくするホルモンは、睡眠中にたくさん分泌されます。子どもの昼間の生活にも支障が出るので、無理やり起こすのはやめましょう。

 夜尿症の子はそうでない子に比べて、自尊心が低いという報告もあるので、焦らず怒らないことが大切です。紙おむつを使ってもいいという気持ちを持って、じっくりと向き合いましょう。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・眠る>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・松本千聖)