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 なぜ日本ではベートーベンの難曲「交響曲第九番」を子どもからお年寄りまで多くの人が歌うのか。そんな疑問を解き明かすドキュメンタリー映画「ルートヴィヒに恋して」が今夏、名古屋市内で上映される。韓国出身の金素栄(キムソヨン)監督(51)が、「第九」の旋律のように合唱団員ら一人ひとりの人生を少しずつ重ね合わせながら鮮やかに描き出す。

 金監督はソウル出身。2001年、映画祭出品のために初来日し、03年、結婚を機に神戸に移住した。日本で暮らして不思議に思ったのは、クラシック音楽の演奏会が頻繁にあり、12月は第九の演奏が多いこと。合唱団には学生からお年寄りまでいて、声楽家ではない「普通の人」に見えた。

 まず、日本で第九が歌われたきっかけを調べ、第1次世界大戦末期の1918年、ドイツ人捕虜が初めて徳島で演奏したことがわかった。いま、なぜ第九を歌うのか。2014年から兵庫県の「神戸フロイデ合唱団」と「姫路第九合唱団」の団員にアンケートを取り、15年に撮影を始めた。

 団員らは第九を繰り返し口ずさむ。山あいの集落で、精米所で、河川敷で。縫い物をしながら、自転車をこぎながら、洗濯物を干しながら。団員は代わる代わる第九への思いを語る。

 ある女性看護師は95年の阪神…

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