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 コンビニエンスストアやスーパーで並ぶおにぎりを食べたことがある人なら、その中に市川工業の成型機で作られたものがあったかもしれない。「おにぎりといえば、おふくろの味をイメージする人も多いのでは。人の手で握ったようなふんわりとしたおにぎりになるよう様々な工夫をしています」。3代目となる市川剛社長(41)は語る。

 川崎市や川崎商工会議所などが中心となって優れた工業製品を選ぶ「川崎ものづくりブランド」に、昨年1月認定された「直列型ふっくらシートおにぎり成型機」は、空気を入れながらごはんをほぐし、手でむすんだようなふんわり感を実現。ノリ入り包装フィルムを自動で巻き、1時間に3千個の三角おにぎりを作る。大きさや形、塩加減も自由に調整できる。

 1956年、市川社長の祖父が創業。納豆を容器に詰める充塡(じゅうてん)機や、みかんを缶詰用にする実割り機などを経て70年代、川崎で働く労働者が通う食堂からの依頼に応じ、おにぎり成型機を開発。1時間に1千個生産できたという。「ただ、当時は定量のごはんを型にはめて成型する機械。ふんわり感には遠かった」

 70年代後半、大手コンビニ向けにおにぎりを生産するメーカーからの注文で成型機を出荷。コンビニの台頭とともに出荷台数を伸ばした。

 「15年ほど前、コンビニ業界で『おにぎり革命』と呼ばれる変化がありました」。量だけでなく質が求められるようになった。例えば塩加減。最初は塩水で炊いたごはんを握っていたが、今は握った後で機械が振りかける仕組みに変わった。以前はおにぎりにくぼみを作り、詰めていた具も、ごはんをシート状にすることで、具をやわらかく包み込むことが可能になった。

 今は、羽田空港で販売されている弁当やおにぎり、国際線の機内食などの製造にも同社の機械が使われている。日本の、ある大手コンビニのおにぎりで台湾の店舗に並ぶのは、すべて同社の成型機で作られたものだ。香港、ベトナム、イタリアなどにも進出している。

 祖父や父の苦労を間近で見てきた市川社長が、3代目に就任して3年になる。財務や経理を担当するいとこの市川雄介専務(34)や、技術者を中心とした従業員とともに「よりおいしいおにぎり」に挑戦し続けている。(斎藤博美)

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 市川工業株式会社 1956年創業。おにぎり成型機など食品製造を省力化する機械を製造・販売する。米飯を計量して弁当に詰める機械や塩、ゴマを振りかける機械なども製造。従業員25人。川崎市幸区神明町2丁目。電話044・522・0431 http://www.1kawa.co.jp/別ウインドウで開きます