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 陸上の第103回日本選手権大会第3日は29日、福岡・博多の森陸上競技場で今秋のドーハ世界選手権代表選考会を兼ねて男女8種目で決勝があり、男子400メートル障害は安部孝駿(たかとし)(ヤマダ電機)が東京五輪参加標準記録(48秒90)を突破する48秒80で2年ぶり2度目の優勝を果たした。すでに参加標準記録を突破していた世界選手権の代表に内定。女子100メートル障害は、4月のアジア選手権金メダルの木村文子(あやこ)(エディオン)が13秒14(追い風0・6メートル)で2年ぶり6度目の優勝。世界選手権代表に内定した。

 男子200メートル予選では、同100メートルとの2冠を狙うサニブラウン・ハキーム(米フロリダ大)が全体2位の20秒84で30日の決勝に進んだ。

お家芸の種目、安部「自分に勝った」

 先行策がはまった。

 男子400メートル障害は、安部と豊田がすでに世界選手権の参加標準記録(49秒30)を破っており、優勝すれば代表に内定する。外側から2人目の8レーンを突っ走った安部が豊田の追い上げを寄せ付けず、フィニッシュ。48秒68の自己記録には届かなかったものの、来年の東京五輪の参加標準記録を突破した。

 「今の自分にとっては外側のレーンが良かったかもしれません」と安部は冷静に言った。というのも4レーンを走った前日の予選では外側を走る野沢(ミズノ)が視界に入り、「集中できていなかった」と2着。「今日は自分との戦いだった。思い描いていた走りに集中できた」。野武士を思わせる風貌(ふうぼう)の27歳がレース後「よっしゃあ」と雄たけびをあげたのは、「自分に勝った喜びが大きかったから」だった。

 今季は所属先が変わり、サポート体制がより充実したこともあって欧州などのレベルの高いレースを転戦している。「外国選手と戦う感覚はやってみないと分からない。それに走り方やウォーミングアップの仕方など学ぶ点も多い」

 世界選手権では為末大が2度の銅メダル獲得、山崎一彦の入賞など、日本の“お家芸”とも言えるこの種目。最近の空白を埋める存在に名乗りをあげた。「今までを引き継ぐというよりは新しい時代をつくる」。悲願の決勝進出に向けて4度目の挑戦だ。(堀川貴弘)

勝負強さ発揮の木村、タイムには満足せず

 女子100メートル障害は3人が100分の2秒差にひしめく大接戦。最初にフィニッシュラインを越えたのは、今春のアジア選手権を制した木村文子(エディオン)だった。「自分の動きが崩れないように集中しようと思った。それができたかな」。優勝すれば世界選手権代表に内定する大一番で、勝ちきる勝負強さを見せた。

 今月11日で31歳になった木村がよく口にするのが、「自分の課題に集中する」という言葉。ベテランの域に達しても、まだまだ成長できることを自身で感じているからこそ、1本1本のレースを大切にする。この冬は2017年世界選手権金メダリスト、サリー・ピアソン(豪)と練習を共にし、「スピードの部分で勉強になった」。スプリント力が上がり、今季は13秒1台を何度も記録している。ただ、「世界で戦うには12秒台で走るのが必須になる」と、この日の優勝タイムには納得していなかった。木村が目指すのは、さらに上のステージだ。(辻隆徳)

サニブラウンは後続を圧倒

 前日の100メートルを制したサニブラウンは、200メートル予選を3組1着の20秒84で走り、決勝に進出した。前半からリードして後続を圧倒すると、150メートル付近からは力を抜く余裕ぶり。「向かい風が強かったけど、しっかり腕を振れた」と振り返った。2年ぶりの2冠を目指す20歳。カギにスタートと終盤の伸びを挙げる。「自分の走りができれば結果はおのずとついてくる」と自信たっぷりだ。