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 埼玉県神川町下阿久原のヤマキ醸造グループそばの田んぼで29日、平安時代に宮中料理を司(つかさど)る家として四條司家の名称を賜った同家の41代当代、四條隆彦さん(65)による田植え式があった。ここで収穫した米を原料の一部に醸造した味噌(みそ)と醬油(しょうゆ)は皇室などに献上される。

 1902(明治35)年創業のヤマキ醸造グループは創業当時と変わらない天然醸造法と国産原料のみで味噌や醬油を造り続けている。2001年10月、四條さんから自然農法による原料栽培と古式醸造法の両面で「技芸指南役」を委嘱され、皇室への献上品をともに造る間柄となった。

 この日はまず、ヤマキ醸造の醬油もろみ蔵で皇室献上用の桶(おけ)のもろみをかき回す「櫂(かい)入れ式」があり、伝統的な装束をまとった四條さんが最初に櫂をもろみの中に入れた。このあと地域の子どもたちがもろみ蔵に入り、次々ともろみをかき混ぜていった。

 次の田植え式はもろみ蔵から200メートルほど離れた田んぼで行われた。四條さんらは優雅な雅楽隊とともにあぜ道を行列して移動。田んぼの前に作られた祭壇で豊作を祈る神事を執り行い、地元の人が裸足になって慣れた手つきで苗を植えた。四條さんは「きょうのような体験を通じ、子どもたちが安心、安全な食品とは何か、自分の口で覚えることが大事」と話した。(坂井俊彦)