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 九州北部豪雨で、大きな被害をうけた福岡県朝倉市出身の元教師が今年1月、89年の生涯を閉じた。誰よりも地元に強い愛着を持っていたが、被災後は避難を転々と強いられた末の最期だった。亡くなる少し前、教え子からの粋な「贈り物」に顔をほころばせていた。

 井手松雄さんは、同市杷木松末(はきますえ)の山あいにある石詰集落で生まれ育った。松末小学校の教壇にも立った。退職後、区長として蛍での集落振興を企画。集落で育て、観賞会を地元の風物詩にした。野球好きで、地元のソフトボールチームの指導も手がけた。

 2017年7月5日。石詰は豪雨に襲われた。住民59人のうち5人が犠牲になり、濁流は近くの松末小にも流れ込んだ。井手さん宅は裏山が崩落。妻洋子さん(89)と二晩しのいだ後、ヘリで救出された。

 直後から同県福津市の次男宅、12月には神奈川県の長男宅に避難。昨年3月、自宅を修理していったん帰還できた。ところが5月、集落は河川の復旧が終わるまで住めない決まりになった。「もうどこにも行きたくない」と井手さんは残念がったが、同月に福岡県久留米市の借家に引っ越した。

 避難を機に井手さんの体に異変が出始めた。5月には認知症と診断された。介護を受けながら仮住まいを続けたが、12月にはがんが全身に広がっていることがわかった。朝倉市の病院に入院したが、石詰からは16キロ離れた市中心部だった。

 今年1月3日、石詰の自宅に久…

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