[PR]

 さあ、甲子園。緊張と期待を選手たちと共有しているのが、長野代表・飯山の3年生マネジャーの女子生徒2人だ。

 7月30日午後。県庁や朝日新聞長野総局への表敬訪問を終えて学校に戻った選手たちが、ぺこぺこにおなかをすかせて家庭科室に集まってきた。

 昼食のメニューは事前投票で人気だったそうめんとハヤシライス。居残り組の1年生マネジャーが作ったそうめんに食らいつく選手を横目に、表敬訪問に参加した3年生マネジャーの鈴木紗依(さえ)さんと島崎穂乃実(ほのみ)さんは、手際よく3キロ分の豚肉を炒め、ハヤシライスの仕込みにかかる。いい香りが部屋中に漂ってくる。

 「めっちゃいいにおい!ハヤシライスまだー?」。そうめんで小腹を満たした選手たちが鍋をのぞきにやってくる。「もうちょっと!」と笑顔で追い払い、最後の仕上げ。焦げないようにルーをかき混ぜながら、島崎さんがぽつり。「甲子園に出られるのはすごいけど、みんなとまだ一緒にいられるのが一番うれしい」。甲子園が終わるまで楽しい時間が続いてくれる、という意味だ。

 マネジャーになった理由を、島崎さんは「バットで球を打つ音が大好きだから」と明かす。「入部後はしばらくカキーンという音に聴き入っていました」

 鈴木さんは中学生だった2015年春、松商学園が選抜大会に出場した際に甲子園まで応援に行った。いとこがレギュラーで出場していたからだ。「テレビで見ている時と、雰囲気が全然違った」と振り返る。保育士を目指していて、「野球のマネジャーを通し、将来必要な力も身につけたいと思いました」。

 当初7人いたマネジャーは、上級生が抜けて一時は島崎さんと鈴木さんだけになった。仕事は減らないのに人が減り、練習試合の日には、四苦八苦した。

 支えは選手たちの気配りだった。簡単な仕事は選手たちが率先して行うようになり、鈴木さんは「マネジャーの仕事がなくなっちゃうくらいです」と笑う。島崎さんも、「悩みがあるとき、選手たちはいつも何げなく話しかけてくれました。そんな気遣いが自分の励みでした」。

 この4月に新入生2人が加わり、マネジャーは4人になった。忙しく裏方を続け、夏の長野大会。負ければ3年生は引退という大会を制し、チームは甲子園初出場を決めた。

 島崎さんと鈴木さんは「このチームがもっと続いてほしい」と願っている。続くためには甲子園で勝ち続けなければならない。

 「甲子園は選手たちが一生で二度とないくらい注目される大会」と鈴木さん。「選手たちがしっかりと戦えるよう、私たちもしっかりサポートしていきたいと思っています」(里見稔)