[PR]

 朝日新聞は国会会議録と政治資金収支報告書を分析した独自のデータベース「ポリティペディア」(https://www.asahi.com/senkyo/senkyo2019/special/politipedia/)を朝日デジタルで公開している。今夏任期満了を迎える参議院議員の活動の一端を「見える化」する試み。議事録分析にはグーグルと東京工業大学岡崎直観教授(情報理工学)の協力を得た。

 対象は現職参院議員118人(定数121、欠員3)の国会会議録と政治資金収支報告書。収支報告書からは収入の内訳などを分析した。

 会議録は、国立国会図書館の国会会議録検索システムに今年5月31日時点で収録されていた2013年7月21日以降のデータをダウンロード。グーグルが提供するテキスト分析サービス「Natural Language API」を利用し、会議録から普通・固有名詞を抜き出した。

 分析は、自然言語処理を研究している東京工業大の岡崎教授が考案した手法に基づき、各議員がそれぞれどのような単語(名詞)を顕著に多く用いたのかを調べた。

 例えば、参院選に立候補せず、政界引退の意向を示している比例選出議員の儀間光男氏(75)=維新=は、6年間国会でどんな発言をしたのか。儀間氏に結果を示しながら話を聞いた。

ひとつひとつの言葉に信念を込めた

 「沖縄、農業。うんうん、このデータは、私の6年間の政治活動をはっきりと表している。納得だなあ」

 沖縄県出身で儀間氏は、自身の上位ワードを見て、そう話す。

 沖縄県浦添市議、沖縄県議会議員、浦添市長などを歴任し、2013年に参院議員に転じた儀間氏。改選を迎えた今夏の参院選は高齢を理由に立候補せず、政界を引退する意向を示している。

 儀間氏の上位20ワードは、沖縄▽米▽農業▽農家▽日本▽我が国▽中国▽辺▽台湾▽質問▽沖縄県▽コスト▽次▽船▽法律▽日本維新の会▽国内▽話▽TPP▽政府。儀間氏は、この20ワードすべてを「いつ、どういう会議で発言した言葉なのか思い出せるし、説明できる」と言い切る。

 例えば「沖縄」と「米」。これは沖縄の米軍基地移転や日米地位協定に関する問題から来ているワードだという。「政治生活の60%は基地などの沖縄問題に捧げた。自分のライフワーク。『沖縄』『米』は上位に出てくるのは当然だ」

 儀間氏は、「沖縄」と「沖縄県」の言葉を使い分けていたという。沖縄県と「県」を入れて発言したときは、例えば、農業や漁業、観光など特定分野における国内と沖縄県の比較や沖縄県内の状況やデータを示すとき。一方、沖縄と「県」は入れずに発言したときは、米軍基地の移転問題などいわゆる沖縄問題を扱ったときだったという。儀間氏は「言葉のひとつひとつに信念をこめた」と話す。

 一方、「農業」「農家」と農業に関するワード、「中国」「台湾」と周辺諸国に関するワードも目立った。これは6年間、参院の農林水産委員会に所属していたためだという。

 農業の生産コストや流通コストに関する法律の改正、TPP(環太平洋経済連携協定)の国内農家への影響などは、沖縄問題に並ぶ自身の政治課題として質問してきた。また、漁業については中国や台湾など周辺諸国との漁業権問題に関しても頻繁に質問に立った。農家の話、漁師の話などと、現場の声を「話」として紹介した。これらを総合すると、辺▽質問▽コスト▽法律▽国内▽話、といった一見意味を持たないように見えるワードも、儀間氏にとっては、なぜ上位に来ているのか理解できるという。

 他に残った「次」「日本維新の会」のワードは自身の発言の癖だと分析する。「質問に立つときは必ず政党名を名乗った。質問時間は限られるので、進行を速くするために『次』という言葉もよく言ったと思う」

 儀間氏は分析で出た20ワードの一語一語を振り返りながら「私の頭の中が見透かされているようだ。発言の癖まで見えて面白い」と話した。(佐々木洋輔、保坂知晃)