ライチョウのひな確認 50年前に絶滅の中央アルプスで
大野択生
国の特別天然記念物・ライチョウのひなの孵化(ふか)が1日、中央アルプスの木曽駒ケ岳(長野県)で確認された。中央アルプスのライチョウは50年ほど前に絶滅したとされるが、昨年、北アルプスから飛来したとみられる雌1羽が見つかり、環境省が「復活作戦」に乗り出していた。今後は成長を見守るとともに、天敵対策やえさとなる現地の植物などの調査も進めるという。
環境省信越自然環境事務所(長野市)によると、職員が1日午後、この雌の巣にあった卵6個のうち、5個が孵化した跡を発見。その後、巣の約30メートル先で5羽のひながこの雌の周りを歩く様子などを確認した。
中央アルプスのライチョウは1969年を最後に目撃例がなく、絶滅したと考えられてきた。ところが昨年夏、木曽駒ケ岳で雌1羽が見つかり、この雌が産んだとみられる無精卵のある巣も確認された。環境省は今年6月、北アルプスの乗鞍岳の巣で一部採取した有精卵と、木曽駒ケ岳の巣の無精卵を入れ替えてこの雌に抱かせ、「中央アルプス生まれ」のライチョウの復活を目指していた。
7月に入り、中央アルプスは夏山シーズンを迎えた。同事務所の担当者は「神経質な時期なので、山でライチョウを見つけても近づかず、遠くから見守って」と話している。(大野択生)
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