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 イランが核合意の制限を超えて低濃縮ウランの貯蔵を始めた。核兵器開発につながりかねないウラン濃縮に踏み出すことも予告。対イランで軍事攻撃も排除しない構えの米トランプ政権との対立は、新たな段階に入りかねない状況だ。仲裁に入る欧州側にもなすすべがほとんどない。(ワシントン=渡辺丘、テヘラン=杉崎慎弥、ウィーン=吉武祐、パリ=疋田多揚)

 「イランは自分たちが何をしているか知っているはずだ。彼らは火遊びをしている。イランへのメッセージは何もない」

 トランプ米大統領は1日、ホワイトハウスで記者団にイランの「核合意破り」に語気を強めた。イランがこの直前、合意で制限された低濃縮ウランの貯蔵量を超えたと発表したためだ。

 ただ、貯蔵量のわずかな超過は核兵器の開発につながるわけではなく、象徴的な意味に過ぎない。米国や国際社会が強く警戒するのは、イランが今月7日に表明する可能性がある「ウラン濃縮度の無制限化」による核開発の本格化だ。

 ホワイトハウスによると、トランプ氏は1日、マクロン仏大統領と電話でこの「イランによるウラン濃縮度を上げる決定」を主な議題として対策を協議した。ポンペオ米国務長官も声明で「ウラン濃縮度」を強調し、「核兵器で武装したイランは地域や世界に大変な脅威となる」と警告した。

 しかし、イランが予告通りにウラン濃縮を始めても、米国がとれる対抗手段は多くない。

 米国は既にイラン産原油の全面禁輸措置など主要な経済制裁はやり尽くしており、経済面で有効策は残されていない。一方で、米軍は原子力空母や戦略爆撃機などを中東に派遣し、イランへの牽制(けんせい)を続けている。

 実際、軍事衝突の一歩手前まで迫っている。トランプ氏は6月20日のイランによる米軍無人偵察機撃墜を受け、報復攻撃を計画。攻撃10分前に中止させた。その際は、ミサイル関連施設などが標的になったとされる。

 トランプ政権で国家安全保障を担うボルトン大統領補佐官はかつて、「イランの爆弾を止めるにはイランを爆撃せよ」との論考を米紙に寄稿。イランの核施設への攻撃まで提唱していた。イランの行動次第では、こうした米政権内の対イラン超強硬派が発言力を増す可能性がある。来年の大統領選で再選を目指すトランプ氏としては、泥沼化しかねないイランとの戦争は避けたい考えだ。だが、対話の糸口はなく、緊張緩和への「出口戦略」もみえない。

 核問題に詳しい米カーネギー国…

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