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 老後の生活費不足をめぐり、経済産業省が必要な蓄えを「2895万円」とする独自試算をした際、政府の年金見通しのうち最も厳しいケースを選んでいた。立憲民主党の2日の会合で、このケースで試算したことについて、経産省は「特に理由はない」と説明。老後不安をめぐる政府の姿勢が問われるなか、責任回避の姿勢に終始した。

 金融庁審議会は先月、老後の生活費は公的年金では不十分で、2千万円不足するとの報告書をまとめた。経産省も4月の産業構造審議会の部会で、資産形成を促す議論の参考として、65歳の高齢夫婦が95歳まで30年間暮らすと想定した試算を提示。生活費が1億763万円かかるのに対し、公的年金の収入は7868万円で、2895万円不足するという内容だった。

 経産省はこの試算に、厚生労働省が2014年の年金財政検証で示した8通りのシナリオのうち、経済前提が最も厳しく、年金水準が最も低くなるケースを使っていた。事前に厚労省とは相談しなかったという。

 老後の生活費不足をテーマにした立憲民主の2日の会合では、試算の前提の置き方について、議員から「経済状況は今後厳しくなると見ているのか」「(資産形成を促すため)不足額を大きく見せたかったのでは」といった質問が相次いだ。しかし、経産省の担当者は「資料の1枚にすぎない」「経産省の見解ではない」などとかわし続けた。立憲民主の議員からは「恐ろしい答弁だ」「言い訳じみている」などの批判が上がった。(山本恭介)