就職後、深まった「税」の悩み 22歳会社員・川原さん
3年前の参院選の際、選挙権年齢の引き下げで初めて一票を手にした18、19歳に政治や選挙への疑問を聞き、識者に答えてもらった。あれから政治とのつきあい方は変わったのだろうか。同じ若者を訪ねてみた。
会社員・川原愛美さん(22)
春から都内の会社で働いています。いろんな「義務」が増えたので、社会的な責任が大きくなったと感じます。
まずは納税ですよね。給与明細で厚生年金や所得税が引かれているのに気づいて、「けっこう取られるんだ」って驚きました。ほかにも、秋から奨学金の返済が始まります。返済に18年かかります。「ちゃんと生活しないと」って気が引き締まります。
3年前の選挙では、消費税の引き上げ再延期が話題でした。奨学生だったから、税収が増えて返済のいらない給付型奨学金が広がってほしいなと思う一方で、引き上げだと生活に響く。「目先の生活と将来の負担、どうてんびんに?」と考えたんです。
大学時代に、カンボジアなどの貧しい地域でボランティアをした時、現地の人はお金がないけど幸せそうだったのが印象に残っています。日本だとまずはお金が必要で、それに合わせないと暮らしていけない。経済で社会が動いている感じ。豊かさって何なのかと思いましたね。
日本社会ってかなり複雑で、税金がどう使われているのかは見えにくい。ぱっと思いつくのは公務員の給料です。でも、困っている人に行き渡るという社会保障が手厚くなるのはうれしいんです。出費がかさむ社会人になって、税金をどう考えればいいのか、ますます悩みが深まった気がします。
今回の参院選でも注目するのは社会保障です。経済的な理由で大学に行けなかったり、弱い立場だったりする人がきちんと救われる社会であってほしい。生活保障の恩恵は私たちの年齢では実感しづらいですけど、税金の使われ方をチェックして、各党の政策を勉強して一票を投じたいと思います。(角拓哉)
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