[PR]

 欧州連合(EU)は2日にブリュッセルで開いた臨時首脳会議で、EUトップの欧州委員長にユンケル氏の後任候補として、ドイツ国防相のウルズラ・フォンデアライエン氏(60)を指名した。また欧州中央銀行(ECB)の総裁候補に国際通貨基金(IMF)のフランス人、クリスティーヌ・ラガルド専務理事(63)を選んだ。11月1日に正式に就任すれば、いずれも初の女性トップとなる。

 30日夜に始まった首脳会議は各国の意見が対立し、徹夜の議論を経て3日目に合意にこぎ着けた。欧州委員長とECB総裁ポストを独仏で分け合った。

 欧州委員長はEUに適用される法律の提案権を握る行政機関のトップで、強大な権限を持つEUを代表する顔。任期は5年。ユンケル氏は10月末に退任する。フォンデアライエン氏は2005年からメルケル政権下で閣僚を務め、13年、同国初の女性国防相になった。元医師で子どもが7人いる。

 10月に8年の任期を終えるドラギECB総裁の後任候補となったラガルド氏は、仏財務相などを経て、11年7月にIMFの初の女性トップとして専務理事に就任。ギリシャの財政危機にEUとともに対処した。シンクロナイズド・スイミング(現アーティスティックスイミング)の仏代表チームに籍を置いた経歴も持つ。

 また、EUの大統領に相当する、EU首脳会議常任議長の後任にはベルギーのシャルル・ミシェル首相(43)、外相に相当する外交安全保障上級代表の後任候補には、かつて欧州議会議長を務めたスペインのジョセップ・ボレル外相(72)が選ばれた。

 今回のEUトップ人事は難航し、最大の争点は欧州委員長だった。これまでEUを引っ張ってきたドイツ、フランスがまとめた案が、ハンガリーやポーランドなど中東欧の4カ国から「EUを分断するもの」などと猛反発を受け、協議は迷走した。

 結局、独仏は折れ、対案としてこの4カ国が出したフォンデアライエン氏案を受け入れた。ドイツのメルケル首相は会議後、「激しく戦ったが、うまくいかなかった」と話した。ドイツで連立政権を組む党の同意が得られなかったため、メルケル氏は、この対案に首脳として唯一賛否を示さなかったという。フランスのマクロン大統領も会議後、「ヨーロッパを分断させないための決断だった」と譲歩したことを認めた。(ブリュッセル=津阪直樹)