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 梅雨前線の活発化で3日夜から4日にかけ、九州では雨がさらに強まりそうだ。1日で平年の7月1カ月分の雨量を超える地域も出る見込み。気象庁は3日午前に臨時会見を開き、「大雨特別警報を発表する可能性がある」と述べ、「自分の命、大切な人の命を守るために、早め早めの避難をしてほしい」と呼びかけた。

 2日連続で開かれた異例の会見。気象庁予報課の黒良龍太主任予報官は大雨特別警報について、「非常に激しい雨が同じ地域で数時間続いた場合、発表する可能性がある」と説明。具体的な地域にも言及し、「熊本や鹿児島付近、状況によっては九州北部や西日本の太平洋側でも恐れがある」とこれまでの説明より一歩、踏み込んだ。

 大雨特別警報は警戒レベルの中でも最も高いレベル5にあたる。市町村が出す避難勧告や避難指示(いずれもレベル4)よりも危険だ。発表された時にはすでに災害が発生している可能性が高く、黒良主任予報官は「避難するには遅すぎる。最新の気象情報や周囲の雨の状況などから危ないと感じれば避難してほしい」と促した。

 同庁によると、暖かく湿った空気が流れ込んだことで前線の活動が活発化。加えて東シナ海で発達した雨雲が九州へ接近しており、活動が強まる可能性があるという。

 熊本、鹿児島、宮崎の3県では4日にかけ、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降る見込み。4日午前6時までの24時間雨量は、鹿児島350ミリ、熊本、宮崎300ミリ、福岡200ミリなどと予測されている。西日本各地や東日本でも局地的に激しい雨が降るという。梅雨前線は6日ごろまで九州付近に停滞する見通しだ。

 先月28日の降り始めから3日午前8時までの総雨量は、宮崎県えびの市で883・5ミリ、鹿児島県薩摩川内市678ミリ、熊本県湯前町495・5ミリなど。長雨で地盤が緩み、少ない雨でも土砂災害や河川氾濫(はんらん)の可能性があり、同庁は厳重な警戒を呼びかけている。(金山隆之介)

 九州が7月初旬に大雨に見舞われるのは2017年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨に続き3年連続となった。いずれも梅雨前線に湿った南西風が吹き込みやすい条件が重なった「梅雨末期」の気象状況だ。

 過去10年に同様の条件で九州を襲った災害は、09年7月の中国・九州北部豪雨(死者36人)や12年7月の九州北部豪雨(死者・行方不明者33人)など。いずれも記録的な雨量による土砂災害や河川の氾濫(はんらん)が発生し、計100人以上が犠牲になった。

 12年の豪雨は熊本、福岡両県で4日間の総雨量が500ミリを超えた。17年豪雨は短時間の集中豪雨で、福岡県朝倉市で24時間雨量が545・5ミリを記録した。

 鹿児島大の地頭薗(じとうその)隆教授(砂防学)によると、総雨量が400ミリを超えると「深層崩壊」の発生リスクが高まる。今回、すでに鹿児島、宮崎、熊本県の20以上の気象庁観測点で降り始めから600ミリを超えた。

 大切なのは、災害リスクがある場所からの早期の避難だ。身近な地域の土砂災害や洪水の危険度がどれほど高まっているかは、気象庁の「危険度分布」のサイトで確認できる。地図上で5段階で色分け表示されており、情報は10分ごとに更新されている。

 一方、九州は火山地質でもあるため、大雨から時間が経った後に大規模な崩落が起きる恐れもある。1997年7月に鹿児島県出水市で21人が犠牲になった災害では、雨のピークから8時間後、雨がやんで4時間後に発生。地頭薗教授は「雨がやんだ後も、すぐには自宅に戻らないほうがいい地域もある」と注意を促す。