中国・新疆ウイグル自治区で、漢族と少数民族のウイグル族が衝突した「ウルムチ騒乱」から5日で10年になる。騒乱は中国政府とウイグル族の関係を変え、今に至る対立の大きな契機となった。様変わりした街でウイグルの人々は息を潜めるように暮らしている。
6月下旬、ウルムチ市中心部に2018年にオープンした観光施設「国際大バザール」周辺には、赤い中国国旗がずらりと掲げられていた。
10年前、ここで治安部隊とウイグル族が激しく衝突。周辺にはウイグル族の居住地が多くあったが、騒乱後に再開発された。
歩行者天国の入り口には安全検査ゲートと武装警察の詰め所がある。食料品店を開くウイグル族の男性は、「観光客も多く訪れるようになり、にぎやかになった」と淡々と答えた。
だが、観光客が行き交う大通りを一本奥に入ると空気は一変する。
暗い路地にはウイグル族の小さな商店が並び、路地の先には建物を取り壊したがれきの山が重なる。
民宿を営むウイグル族の男性は「ここにはたくさんのウイグル族が住んでいたが、立ち退きを求められ、家が壊された」と話した。
記者が質問していると、3人…