【動画】海遊館で生まれたミナミイワトビペンギンのひな=本多由佳撮影
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 海遊館(大阪市港区)が凍結精子によるミナミイワトビペンギンの人工繁殖への挑戦を続けている。凍結精子は半永久的に保存でき、繁殖の可能性が飛躍的に広がる。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されているペンギンの絶滅を防げるか。

 ミナミイワトビペンギンは、まゆ毛のような黄色い飾り羽根が特徴。岩の間をジャンプしながら移動する姿が名前の由来という。南大西洋のフォークランド諸島などに生息しているが、個体数が減り、絶滅する恐れがあるという。

 海遊館は1990年に飼育を始めた。特定のペアしか受精卵を産まない繁殖の難しさから、2011年から人工繁殖に着手。16年6月、葛西臨海水族園(東京都)のペンギンから採った液体精子による人工繁殖に世界で初めて成功した。だが、液体精子の場合は使える期間が限られ、交配させる水族館や動物園も近場に限られる。凍結させた精子であれば国内のみならず、海外の個体との受精にも可能性が広がる。

 海遊館は17年に葛西臨海水族園と共同研究契約を締結し、凍結精子を使った人工授精への挑戦を始めた。17、18年と2年連続で失敗し、今年は4月下旬、葛西臨海水族園のペンギンから採った精子を凍結して、海遊館の1羽に人工授精した。5月までに卵2個が生まれ、6月6、7日に2羽が相次いでかえった。

 父親が葛西臨海水族園のペンギンであれば、凍結精子による人工繁殖は成功となり、海遊館内はわきたった。だが、父親のDNA型鑑定をした結果、2羽の父親はいずれも海遊館のオスで、自然繁殖だった。

 精子の量などを検討した上で、来シーズンも取り組みを続ける。海遊館の林成幸さん(34)は「凍結精子での人工繁殖技術を確立させ、絶滅の危機にある野生のペンギンにも応用できるようになれば」と話す。

 海遊館では現在、ひなを含め、26羽(オス12羽、メス8羽。不明6羽)を飼育しており、「フォークランド諸島(マルビナス)」水槽で公開している。(本多由佳)