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 「一目千本桜」で知られる宮城県大河原町で、議会(定数15)を「自主解散」してはどうかという議論が起きている。4年ごとの町議選が花見シーズンにぶつかるのを避けるためだ。30万人近くが訪れる町の一大行事。気候温暖化で満開が早まっているという事情もある。「町挙げての観光シーズンの邪魔になる」「いやいや、任期を全うするのが議員の本分」と、町議の考えは割れている。

 白石川沿いに延々8キロにわたる約1200本の桜並木。残雪の蔵王連峰を背にした花のトンネルは、外国人客にも人気だ。桜まつり期間中、川に屋形船、河川敷には多くの屋台も出る。

 一方、町議会議員の任期は4年ごとの4月末に切れる。選挙は4月の第2ないし第3日曜に投開票が行われ、次は2021年春のはずだった。それを、来年秋に議会を自主解散して選挙を半年前倒しし、来年10月が想定される町長選と同日選にしようというのだ。

 町議の言い出しっぺは岡崎隆さん(51)。一昨年春の選挙で「議員任期の半年短縮」を公約に掲げ、3選を果たした。「花見は町挙げてのおもてなしの時期。選挙カーがうるさいなど、観光客や町民の不満が大きくなっている」「同日選にすることで、町議選単独の費用約800万円の削減にもなる」と訴えた。

 桜まつりで商業関係者は大忙しになる。岡崎さんは地方議員のなり手不足の問題も挙げ、「町の若手経営者らに議員を目指してもらうためにも、この時期は避けるべきだ」とする。

 かつては「選挙が終わると花見」だった。毎年、満開の日は前後にずれるが、長い目で見れば温暖化の影響で早まっている。特に前回、前々回の選挙は、投票日と満開の週末がどんぴしゃり重なった。

 同じ考えの町議5人ほどで話し合いを重ねた。時機は来たとみて、岡崎さんは今年6月、議会解散について話し合う調査特別委員会の設置を提起。ところが、議会運営委員会や全員協議会の場では、反対の声が次々上がった。

 「任期はあくまで4年。その間にやるべきことをきちっとやるのが筋だ。桜が早まっているなら、選挙を1週遅らせればいい」と、同じ3期目の堀江一男さん(70)。8期目の万波孝子さん(69)は「選挙でうるさいと言われたことは一度もないし、花見会場のそばは避けるなど、候補者が配慮すればいい話。町民が解散を求めるなら別だが、議員が率先してやる大義名分はない」という。

 岡崎さんらは6月定例会での調査特別委の設置を目指したが、慎重さを求める声に折れ、7月末の臨時議会で設置議案を提案する方向に。現段階では、自主解散に反対する議員の数が上回るとみられる。(石橋英昭

大河原町の桜の開花状況と町議選の日程

      開花      満開

2009年 4月 6日   10日

 《選挙  4月14日告示 19日投票》

2010年 4月10日   18日

2011年 4月13日   16日

2012年 4月18日   23日

2013年 4月 8日   14日

 《選挙  4月 9日告示 14日投票》

2014年 4月 7日   12日

2015年 4月 3日   10日

2016年 4月 1日    7日

2017年 4月 8日   14日

 《選挙  4月11日告示 16日投票》

2018年 3月31日 4月 5日

2019年 4月 5日    9日

※岡崎隆町議の資料などから

     ◇

 〈地方議会の自主解散〉 特例法により、議員数の4分の3以上が出席し、その5分の4以上が賛成すれば、議会解散の議決をすることができる。今年4月の統一地方選前には熊本県錦町、茨城県美浦村などで、選挙費用削減と投票率向上を狙い、任期がずれていた議会が自主解散。首長選と同日選になった。