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 「非正規で長く働いてきました。体に負担のかかる仕事ばかりで、どんなに頑張っても、月給は20万円に届かない。結局、転職の繰り返し。しかも精神疾患を患い、自宅にひきこもりました」――。

 そんな書き出しで始まる投稿が6月、朝日新聞に届いた。「中高年ひきこもり61万人」の特集記事を読んだ、千葉県の男性(50)からだった。新聞投稿が、唯一の生きている証し。そう書いてあった。

 男性の自宅を訪ねた。幹線道路沿いにある、築20年を超す木造家屋だった。70代の母親と2人暮らし。寝起きしている2階の自室の窓から、通りの車の音が、かすかに響く。本棚には「非正規社員」「転職」関連の本があった。

自己否定と将来の不安

 「ウチしか居場所がない。年を重ねて、就労が難しいこともわかっている。結婚は絶望的でしょう。これからの生活や老後を考えると、胸が苦しくなる」。8畳間の畳の上で、男性は、自己否定の思いと将来不安にじっと耐えていた。

 大学卒業後、正規雇用の仕事についたが、人間関係のトラブルなどで退職。30代後半から10年間、介護や警備など非正規の仕事を続けた。勤務先は10社以上変わった。「正社員になって家庭を持ちたい」と思い、履歴書を何通も送ったが、面接にも至らなかった。3年前に心を病み、ひきこもり状態に。いまも治療を続ける。母の年金と自身の障害年金が頼みの綱だ。

 「老後2千万円問題」のニュースをみると、「一体いくらお金があれば暮らしていけるのか」と、不安をかきたてられる。政治に望むのは、自分のような中途採用の就労のハードルを下げてほしいということだ。

 「アルバイトではなくて、安定して働ける仕事を増やしてほしい。お給料は少し安くても、働くことさえできたら、老後不安も消えていくと思う」

 いま非正規雇用は2120万人(18年)。10年前から約350万人増え、働く人の4割に迫る。不安定雇用や社会的孤立から抜け出せず、このまま老いを迎えるのではないか。そんな胸苦しい「老後不安」を抱えて生きる人は、もはや例外とは言えない。

全財産は8万円。「入院のお金はない」。末期のがん患者だった70代男性は経済的理由で受診を控えていました。記事の続きでは生活困窮による医療・介護の利用抑制問題に迫ります。

■母がいなくなった…

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