[PR]

 投手で入団、戦力外、育成契約、野手転向……。推定年俸430万円の若き苦労人がやってのけた。オリックスの佐野皓大外野手(22)が、6日のソフトバンク戦(ほっともっと神戸)でプロ初アーチを放った。「ずっと打ちたかった。でも今年は打てないと思っていたので、予想より早かった」。ダイヤモンドを一周し、仲間に迎えられると満面の笑みを浮かべた。

 150キロ超の速球を誇った元本格派右腕だ。大分高3年だった2014年夏はエースで4番として同校を甲子園に導いた。その秋のドラフト会議でオリックスから3位指名を受けて入団した。

 だが17年オフに戦力外通告。育成選手契約を結び内野手として再出発した。「投手ではイップス気味で、自分の投球ができなかった。野手転向は前向きだった」。昨年7月に支配下選手登録され、同時に外野手に転向した。50メートル5秒8の俊足を生かすため、昨季途中から両打ちにも挑戦している。

 5年目の今季、開幕1軍をつかんだ。現役時代に4年連続盗塁王に輝いた西村徳文監督から「足のスペシャリスト」として目をかけられている。試合勘をなくさないために、昼は2軍の試合に出て打席数をこなし、夜は1軍のナイターへ向かう。

 だが、1軍の投手は手ごわかった。慣れた右打席でも空振りが多く、当たってもフェアゾーンになかなか飛ばない。焦りから強く振ろうとして空回りしていった。

 悩んだ佐野が頼ったのが、元大リーガーの田口壮・1軍野手総合兼打撃コーチだ。試合前に何度も質問し、手首の使い方などを教わった。

 この日受けたアドバイスは「あまり強引にいきすぎないように」。1―4で迎えた五回1死一、二塁。真ん中低めの変化球を引っかけず、バットに乗せた。打球は左翼席中段まで飛ぶ同点3ランに。「力を抜いてリラックスして打つことを心掛けた。強振していないのにあそこまで飛んだ」。記念の一発は、飛躍へのきっかけになりそうだ。(大坂尚子)