香港デモ、中国にアピール 勢い衰えず、組織なく散発化
香港=益満雄一郎
香港の「逃亡犯条例」改正案をめぐる問題で、中国本土と香港を結ぶ高速鉄道の駅を目指すデモ行進が7日、行われた。主催者発表で23万人超(警察発表は5万6千人)の市民が参加した。これまでは立法会(議会)などが抗議の主な舞台だったが、中国本土の人々に声を届ける狙いでルートを変えた。ただ一方で、デモ終了後に道路を占拠した数百人の若者と警察が衝突し、けが人が出ている模様だ。
「暴動はない。あるのは暴政だけだ」。小雨も降るなか、香港・九竜半島の繁華街を行進したデモ隊は、これまでのデモでは使わなかった中国語の普通語で訴えた。広東語がわからない中国本土の人々にアピールするためだ。デモのルートは中国人の買い物客が多いことで知られる。
香港警察は約2千人の警察官を配置し厳戒態勢をしいた。デモ終点の西九竜駅周辺への立ち入りを制限し、中国本土に向かう電車の切符の販売も停止した。一連の抗議活動で中国本土との交通に影響が及ぶのは初めて。
香港警察が警戒を強めるのは、西九竜駅の中に中国当局が管理する区域があるためだ。香港の領域内に中国の管理区域をつくることは、香港の高度な自治を保障した「一国二制度」違反だとして民主派の猛反発を受けたが、香港政府は押し切って昨年9月に駅を完成させた。デモ隊が駅構内に突入し、中国の警察官と接触する事態にならないよう警備態勢を強化している。
■デモの勢い、衰えず…