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(8日、高校野球東東京大会 篠崎10―0渋谷教育渋谷)

 マウンドの渋谷教育渋谷の主将臼井孝志郎(3年)は焦っていた。五回1死一、二塁で救援したが、力んで制球が定まらない。直球は上ずり、変化球はワンバウンド。ストライクが入らなかった。「どう投げたらいいか」。普段の投球フォームでないことが分かった。3連続四球や暴投で3点を奪われた。

 なお1死二、三塁のピンチ。「なんとか、打ち取りたい」。相手の4番打者に投じた4球目のスライダーが真ん中に甘く入った。打球はライナーで中堅手の前で弾み、三塁走者に続いて二塁走者も生還した。0―10。「終わってしまった」。5回コールド負けを喫し、立ち尽くした。

 選手の自主性を重んじる高橋正忠監督の方針で、髪形や練習での服装は自由。「野球という競技を知り、考えて行動してほしい」。そんな思いからだ。

 部員19人のうち3年生は3人。臼井は「全員がチームの戦力なんだ」と下級生を鼓舞してきた。昨冬に右の脇腹を痛めて投げられない日が続いたが、その分走り込んだ。高橋監督は「背中でチームを引っ張ってきてくれた」。

 本調子に戻らないまま、夏を迎えた。この日も先発メンバーから外れたが、試合開始直後からグラウンド脇のブルペンで黙々と肩をつくった。だが、マウンドに立つと、いつも何げなく取っていた一つのアウトが遠い。「最後にこんな姿で申し訳ない。歯がゆさや悔しさを、後輩たちに託したい」と言葉を絞り出した。

=神宮第二(原田悠自)