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編集委員・秋山訓子

 今春の統一地方選でのこと。専修大学3年生の高橋恭平さん(20)は東京の区議選候補者のもとでインターンをした。ビラ配りをしていたら、多くの大人から「何でやっているの」などと話しかけられた。他の陣営が「あそこは学生がいて若いエネルギーにあふれ、かなわない」と言っていたとも聞いた。「若い僕らが応援しているだけで注目される」。そう感じた。

 政治への関心から、若者の政治参加を促すNPO「ドットジェイピー」に参加。選挙の体験もしてみようと思ったのが、インターンのきっかけだった。「若者は、動くしかないじゃないですか」

 今回の参院選は、選挙権年齢が18歳に引き下げられてから3回目の国政選挙。しかし、若者の投票率は高くない。2016年参院選の投票率は全体が54・7%なのに、10代が46・8%で20代が35・6%。17年衆院選では全体が53・7%で、10代が40・5%、20代が33・9%にとどまった。

 背景には、投票してもどうせ変わらないという無力感がないだろうか。内閣府が13年度に行った日本など7カ国の若者(13~29歳)の調査で、「社会現象が変えられるかもしれない」と答えた割合は、日本が最も低い30%だった。

 本当に変えられないのか? 目を米国に転じよう。

 ナディア・オカモトさんはニューヨークに住む21歳の大学生。16歳の頃に母親が失業してアパートを追い出され、知人の家を転々としていた時、通学途中に見かけるホームレスの女性たちに一番困っていることを尋ねた。「生理」だった。靴下などを生理用品の代用にしていたという。

 そこで生理用品を配る活動を始め、SNSを駆使して仲間を増やした。やがて「これは女性の困難を解決することだから、男女平等の問題だ」と気づいた。「制度を変えよう」と署名を集めて政治家を訪ね、政策提言をした。政治も動き出し、一部の州や市で無償提供が実現した。

 「政治家は若者を必要としているし、一緒に活動したがっている」とオカモトさん。活動は米国全州と国外25カ国に広がっている。

 いきなり政策提言は無理でも、一歩を踏み出せば何かが変わるかもしれない。

 岐阜県立岐阜高校2年生の横井佐奈さん(17)は今春の統一地方選の際、学校の近くにあった候補者の事務所を友人と一緒に訪ねた。前から選挙に関心があり、思い切って連絡してみると、対応してくれた。選挙後には別の政党の市議にも面会。友人の父の紹介で衆院議員にも会えた。

 「政治って遠くて難しくてわからないと思っていたけど、そうじゃない。身近なことだとわかりました」

 動くことが楽しくなり、これからも続けようと思う。

 政治の側も若者に近づきたがっている。各党はSNSでの発信を強めるなど、若年層取り込みに工夫をこらす。

 若いというのは、それだけで特権だ。とりあえず動いてみれば、大人も刺激されて応援してくれるだろう。

 若者よ、動こう!