「拷問の恐れ」中国に引き渡し拒否 スウェーデン最高裁

ロンドン=下司佳代子、北京=延与光貞
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 巨額の横領の容疑で国際指名手配されていた中国人の男について、スウェーデン最高裁は犯罪容疑を認めた上で、「拷問の恐れがある」などとして中国政府が求める引き渡しを認めない決定を出した。中国側は反発しており、両国間の外交問題になりそうだ。

 決定は9日。最高裁は男の名前を明らかにしていないが、ロイター通信などによると、男は国有企業の河南省での幹部だった喬建軍容疑者。1億スウェーデンクローナ(約11億円)相当の横領が絡む事件をめぐって中国政府の要請を受けたスウェーデンの警察が2018年6月に逮捕していた。

 決定では、犯罪があったと認める相当の理由があるとした。ただ、喬容疑者は政治活動に携わっていたと主張しており、中国に移送されれば、政治的な理由で訴追を受け、死刑判決を受けたり拷問を受けたりするなど、欧州人権条約に違反する扱いを受ける可能性があると指摘。身柄引き渡しは認めないと結論づけた。

 一方、中国外務省の耿爽副報道局長は9日の会見で「中国は人権保護を重視しており、容疑者の正当な権利を保障している」と反論。欧州、アジア、アフリカなどから260人以上引き渡しを受けているといい、「中国の司法制度に対する国際社会の信頼は十分に証明されている」とした。(ロンドン=下司佳代子、北京=延与光貞)