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 第101回全国高校野球選手権山梨大会(朝日新聞社、県高野連主催)は10日、甲府市の山日YBS球場と富士吉田市の北麓(ほくろく)球場で2回戦の計4試合があった。甲府商と甲府工は投打とも力を発揮し、コールドで勝ち進んだ。富士北稜は14安打で快勝し、吉田は好機を逃さず接戦を制した。11日は両球場で、それぞれ2回戦2試合が予定されている。

帽子に書いた エースの自覚 都留興譲館・白須汐音(しおん)投手

 人さし指を立て、マウンドから「ここでしっかり抑えよう」と合図を送った。

 6点差をつけられて迎えた八回表。都留興譲館の主将、白須汐音(しおん)投手(3年)は一塁へけん制悪送球をし、走者を三塁へ進める。1点追加されれば、次の攻撃で得点しないとコールド負け。焦らずにいこうと間合いを取った。

 打席は3番打者。3球目、強打ではなく、スクイズだった。高めの球をバットに当てられ、三塁走者がかえる。7点差になった。

 5年前の春、谷村工と桂が統合し、都留興譲館は開校した。翌年から単独チームとして夏の山梨大会に参加しているが、勝ったことはない。昨夏の大会後、部員の推薦と「チームを強くしたい」という思いから主将になった。

 「エースとしても引っ張ろう」。投げ込みや走り込みを重ね、球速はぐんぐん上がった。最速141キロを記録するまでになり、「今度こそ」と周囲の期待も高まった。精神面も強くなければならない。そう考え、「俺が打たれたら負ける」と帽子のつばに書いた。

 7点差になり、攻守交代でベンチに戻ると、大きな声で打者に声をかけ続けた。しかし、三者凡退。初勝利はならなかった。

 143球を1人で投げきった。強打の甲府工相手に直球でも三振を奪った。「野球にすべてを捧げることができたのは家族、監督、コーチのおかげ」。ともに戦った仲間だけでなく、支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを声を震わせ語った。(玉木祥子)