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 有権者が選挙で投票したことを示す「投票済み証明書」の交付状況が、地域によって大きく違っている。2年前の衆院選では、愛知や岐阜など6県で全自治体が交付した。一方、選挙活動に熱心な組織の「道具」に利用されることを問題視し、交付しない自治体もある。

 今回の参院選で、全国各地の選挙管理委員会が20日まで期日前投票を受け付けている。名古屋市の区役所に設けられた期日前投票所には、出口のそばにしおり型の「投票済証」が置かれていた。「1人1枚」との貼り紙があり、投票した人は自由に持ち帰ることができる。

 総務省によると、2017年10月の衆院選で全国1741自治体の半数を超える966自治体が投票済み証明書を交付した。このうち全自治体が交付していたのは埼玉、神奈川、岐阜、愛知、滋賀、兵庫の6県。一方で長崎県の自治体はどこも交付せず、秋田、福井、山口、香川、愛媛の5県は1自治体だけだった。

 投票済み証明書の交付について、総務省は「公職選挙法に規定がないため、国としてお願いしているものではない」としており、各選挙管理委員会の判断にゆだねられている。すべての選挙で交付している名古屋市選管は「市民の希望もあって発行している。就業時間内に投票に来た会社員が、会社に提出するケースもある」という。証明書を持参すれば商品が値引きされたり、無料サービスを受けられたりすることで投票率アップを目指す自治体もある。

 一方、東海地方の流通系労組が16年に発行した組合員向け広報誌では、参院選向けの活動事例として投票済み証明書の回収が紹介され、多く集めれば「活動の底上げになる」としている。愛知県内の鉄鋼メーカーに勤める20代男性は、17年衆院選で労組の職場委員を務める先輩に頼まれ、投票済み証明書を提出したという。「先輩の職場での評価にも影響するかもしれないと考え、回収に協力した」と話す。

 また、自民党岐阜県連は今回の参院選で現職の50万票獲得を目標としており、県選出の国会議員や地方議員らに投票済み証明書の提出数を決めているという。

 徳島市選管は、すべての選挙で証明書を発行しておらず、市のホームページで「投票に行かなかったことを理由に不利益を受ける可能性があることや、利益誘導や買収などに利用される恐れがある」と説明する。佐賀市選管もホームページで「ある政党が、投票に行ったことを確認するため玄関口に貼らせたり、労働組合が組合員の投票を確認する手段に証明書を回収している事例などが見られる」と記載し、「市民の生活に不利益を与えない」などとして発行していない。

 全国で唯一、全自治体が交付していない長崎県内の市選管に交付しない理由を尋ねたところ、「投票の秘密に触れる恐れもある」(佐世保市)、「地元の飲食店などから交付による『選挙割』への要望もない」(雲仙市)といった回答だった。(岩尾真宏、柏樹利弘、菅原普)

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