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 第101回全国高校野球選手権秋田大会は11日、1回戦11試合が行われた。うち、7試合はコールド試合だった。大曲農が大曲農太田戦で大会第1号本塁打(ランニング)を記録し、秋田高専は延長の末、由利工を破った。12日は4球場で2回戦8試合が行われる予定。

相手校から信頼の助っ人 大曲農太田 大石裕司投手(3年)・中川純希捕手(1年)

 二回裏、大曲農太田の先発、大石裕司投手(3年)は初めて三塁走者を背負った。中川純希(あつき)捕手(1年)がマウンドに駆けよる。「コーナーに投げれば抑えられている。裕司さんが持ってる球、リラックスして投げていきましょう」。相手打線の流れを断ちたい場面で、よく見る光景だ。

 ただ、中川捕手は、対戦相手の大曲農の部員だ。

 組み合わせ抽選で対戦が決まったが、大曲農は「本校」、大曲農太田は「分校」だ。分校の大曲農太田は部員不足のため大曲農から選手4人を借りている。中川捕手もその一人だ。

 大曲農太田の10人のチームはこの春に結成したが、このうち大曲農から派遣される4選手は、普段は大曲農で練習する。

 10人そろって練習するのは、練習試合などに限られた。大石投手と中川捕手がバッテリーを組んで実戦練習をしたのはわずか5、6回。配球は試合前日に相談した。

 それでも大石投手は「中川君を信用できるとかできないとかではなく、自分が信用すると決めました」と胸を張る。「分校のメンバーとして認めよう、と」

 中川捕手は期待に応えた。バッテリーを組み始めた頃は遠慮がちだったリードは、この試合では堂々としていた。ピンチの大石投手をマウンドで励ました。

 試合後、大石投手が「大曲農の1年生には、自分たちの分まで甲子園をめざして頑張ってほしい」と話すと、中川捕手は「1年生から試合に出させてもらえたのは貴重な経験。分校の先輩たちの分も頑張ります」と応えた。2人とも、晴れやかな表情を見せた。(野城千穂)