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(11日、高校野球西東京大会 世田谷学園9―2都市大等々力)

 都市大等々力のマネジャー樋口舞(3年)は、世田谷学園との初戦に記録員としてベンチ入りした。長打力のある相手打線を警戒し、ベンチ最前列から、各打者の前の打席結果を大声で伝えた。チームは五回まで連打を許さず接戦に持ち込み、食い下がった。

 思わぬ形の「転身」だった。中学ではソフトボールをしていて、左翼や一塁を守った。高校でもソフトボール部に入ったが、部員不足から廃部となった。そんな時に野球部員が声をかけてくれた。「みんなで力を合わせて得点し、失点を防ぐ野球が好き。別の形で関わりたい」とマネジャーを引き受けた。

 スコアつけや、グラウンドに出て、ノックの球出しなどに汗を流した。選手と同じ目線で考え、ミスで落ち込んだりけがをしたりした選手を励ました。

 選手のモチベーションを上げるための仕事もこなす。スイングスピードや球速、ボール回しに要する時間を定期的に計測し、選手ごとにデータで管理し、選手がいつでも見られるようにしておく。主将の小泉雅己(同)は「小さな積み重ねによる成長が目に見えてわかるので、ありがたかった」と振り返る。

 その小泉が七回、無死一塁で打席に立った。投手陣が打ち込まれ、8点差をつけられていた。「普段はあまり目立つのが好きじゃない」はずの樋口の口から無意識に言葉が飛んだ。

 「ここで1本打てよ」

 小泉は中前安打を放った。次の犠打で1死二、三塁となったところで、古田大騎(2年)が左前適時打を放った。土壇場での反撃に黙々とスコアをつけていた樋口の手が止まった。「このチームでマネジャーをやれてよかった」。笑顔で右手を突き上げた。=府中市民(原田悠自)