すみっコぐらし原点は落書き かわいそうなかわいさ共感
最近、街中によく潜んでいる「すみっコぐらし」。部屋の隅に集まる習性を持つという「後ろ向き」なキャラクターですが、子どもたちに人気です。一風変わったキャラが登場したのはなぜなのか。これまでほぼ取材に応じてこなかったというデザイナーのよこみぞゆりさん(31)に、お話を聞きました。(影山遼)
自信がない「ぺんぎん?」
よこみぞさんは、「たれぱんだ」や「リラックマ」を開発したサンエックス(東京)のデザイナー。同社にはよこみぞさんのようなデザイナーが35人ほど在籍し、オリジナルのキャラクター作りや、キャラをデザインした文具や雑貨の製造、ライセンスの展開を手がけています。
2012年に登場した「すみっコぐらし」は、同社のキャラクターの中でも「少し異質な存在」(広報宣伝担当の桐野朋子さん)といいます。自分に自信がない「ぺんぎん?」、北から逃げてきた「しろくま」、食べ残された「とんかつ」、体形を気にしている「ねこ」、捕まらないようにとかげのふりをしている恐竜「とかげ」など、個性豊かでありながら控えめな面々がそろいます。
大人にもファン
デビューから間もなく7年。人気は徐々に拡大し、今では、関連商品の売り上げは年間約200億円、アイテム数は1万を超えるといいます。特に人気の「てのりぬいぐるみ」は累計約800万個、すみっコの日常を描いた「すみっコぐらし ここがおちつくんです」など関連する書籍も約300万部を売り上げています。ユニクロとコラボしたTシャツは子ども用のみの発売でしたが、一番大きな160センチのサイズが最初に売り切れたそうで、大人にも多くのファンがいます。
よこみぞさんに聞く
もはや「すみっこ」の存在ではないキャラクター。作者のよこみぞさんとは、どんな人なのでしょうか。
――少しネガティブなキャラは、どのようにして考えついたのですか。
アイデアが生まれたのは私が入社した年です。社内ではデザイナーらによるコンペが数カ月に一回あります。追い詰められていた時、大学の授業中に描いたメモの隅の落書きに目がとまりました。今でいう「たぴおか」に似たキャラで、吸いにくいから残されてしまったひねくれものという設定です。
投げやりな感じで、たぴおかに似て中心にいなさそうなキャラを集めて提案したら、まさかの好評。そこから設定を練りながら、今の形に近づいていきました。
――なぜ部屋の隅にいるキャラを集めたのですか。
「目立ちたくない」でも「人前に立ちたくない」でも人生は大丈夫、と話すよこみぞさんに迫ります。
そもそも自分がそんなに元気…
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