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(11日、高校野球福岡大会 福岡水産8―5戸畑工)

 3点リードで迎えた九回裏。福岡水産の石元涼我君(3年)は2人を打ち取ると、マウンドに内野手を呼び集めた。「どうしたらいい?」

 春の福岡中央地区大会2回戦。4点リードの九回に石元君が満塁本塁打で同点にされ、逆転サヨナラ負けを喫した。この日は8点を先行したが、5点を取り返された。四球や長打で走者を出すたびに春の記憶がよみがえる。勝利を目前にしてもなお、「正直びびっていた」。

 マウンドに集まった仲間に言われた。「とにかく楽しめ」。深呼吸し、思い切り腕を振った。飛球を三塁手の小林東生君(2年)に任せようとすると声がかかった。「ピッチャー!」。最後のアウトを自ら取り、グラブを高く掲げた。「今まで続けてきた練習が、この一球につながっていると感じた」。エースの自覚を新たにした初戦だった。(狩野浩平)