写真・図版

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 再び目覚めると、わたしはまた懐かしい楼蘭王国に帰っていました。

 愛する人をなくすのは、三回目でした。

 楼蘭で弟ウルスと両親ザムヤードとアナーヒタを。長春で夫と子供たち……ウルス、アナーヒタ、ザムヤード、ワナント、ミスラ、アタル、ヴァーユを。上海で川島芳子を。そしてまた中世の死者の都に戻ってきたのです。

 自分はもうここにいてはいけないのだと、理解しました。なぜなら、楼蘭王国がある限り、間久部少佐がやってきて、神の鳥の首を盗み、何者かが歴史を変えてしまうからです。

 わたしは罪人でした。家族と国土をとつぜん失ったショックから、神の火の力を盗んだ、許しがたい罪人でした。でも、そんなわたしよりさらにしてはいけないことをしている何者かがいる……。

 一日かけて、わたしは王国中の愛(いと)しいものに別れを告げました。家族、知人、民たち。永遠に見飽きることのない美しい情景。平和で豊かなわたしの祖国……。見納めに弟のウルスの美しい青い目をじっと見て、亜麻色の長い髪にそっと触れました。

 神殿に入り、自らの手で、祭壇から神の鳥の首を下ろしました。城門を潜り、王国の外に出ました。

 振りむくと、神の鳥の首をなくした楼蘭王国が、砂混じりの風とともに消え、廃墟(はいきょ)になっていきました。

 そう、いま、わたしの話を聞いているあなたがたがいる、この……楼蘭遺跡です。

 わたしは神の鳥の首を隠し持ち、黙々と旅立ちました。

 南へ。ひたすら南へ。

 途中、ある町に立ち寄り、神の…

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