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 大分大会は6日目の12日、2回戦4試合があり、大会初本塁打も飛び出した。杵築は今春の選抜大会に出場した第1シード大分に勝利。別府翔青が宇佐を破り、大分工が昨年準優勝の柳ケ浦を抑えきった。中津南は2安打で大分高専との接戦を制した。13日は第2シード津久見と昨年優勝の藤蔭が対戦。第3シード三重総合も登場し、2回戦3試合が行われる。

逆転信じていた この試合も 大分・足立駿主将

 本当に負けたのか――。大分の主将足立駿(すぐる)君(3年)はまっすぐ前を向いたまま、ぼうぜんと宙を見つめていた。試合が終わっても信じられず、相手チームやスタンドの歓声も耳に入ってこなかった。

 八回表に5点を勝ち越された。でも、誰もあきらめてはいなかった。昨秋の九州大会大分県予選でも、今春の九州大会でも、リードを許しては逆転する試合を経験してきた。この日も最後まで逆転を信じていた。

 その裏の攻撃で、先頭打者として打席に立った。逆転への足がかりを、と意気込んだが、二塁ゴロに倒れる。この日は4打席で1本も安打を放つことはできなかった。

 甲子園初勝利を挙げた今春の選抜大会。2回戦の明石商戦では3安打を放ちチームを勢いづけた。だが、その試合で右足首の靱帯(じんたい)を損傷。約1カ月の入院を余儀なくされた。上半身のトレーニングを続け、6月初めに復帰。しばらくは道具準備などでチームを支えた。

 入院中、九州大会に出ているチームメートに「頑張れよ」と試合ごとにLINEでメッセージを送った。「夏、甲子園に行こうな」という返信に励まされた。

 不在の間、代わりにチームをまとめた飯塚和茂君(3年)は「いなくなって初めてキャプテン頼りだったことに気付かされた」と、改めてその存在の大きさを知った。

 試合後、「本当に悔しい。もう一度、歓声の中でプレーしたかった」と目を赤くした。そのそばで松尾篤監督(46)は「弱音を吐かず、個性あるチームを一つにまとめてくれた。ありがとう」とねぎらった。

 再び目指した甲子園は簡単には行けない場所だった。「自分たちができなかった分、甲子園に行ってほしい」。果たせなかった夢は後輩たちに託した。(中沢絢乃)