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 自民党総裁の安倍晋三首相は今回の参院選の訴えで憲法改正をこれまでになく前面に出している。議論の是非を問うことで、暗礁に乗り上げている国会論議を前進させるねらいがある。ただ、改憲そのものには公明党が慎重姿勢で、自民党内にも異論がくすぶる。

 14日の首相の広島市の街頭演説でも、定番となっている訴えが出た。

 「共産党は自衛隊を違憲だと言っている。この論争に終止符を打たなければいけない。そこで(自民党は)憲法にしっかりと自衛隊を明記すると公約に掲げている」

 公示から14日までの11日間、首相が行った48カ所の演説では、40カ所でこうした訴えを展開。41カ所では改憲論議の停滞を「野党の審議拒否」などと批判し、「議論を進める候補者か、議論しない候補者かを選ぶ選挙だ」と続けた。

 もっとも、野党第1党の立憲民主党も、第2党の国民民主党も議論を拒んでいるわけではない。両党は参院選公約で、衆院解散権の制約や知る権利の尊重などの議論を掲げる。むしろ首相と両党の対立の根底にあるのは、国家権力を縛るはずの憲法で、行政府の長である首相が改正に旗を振ることへの反発と警戒感だ。

 自民党は2014年衆院選で、公明党と合わせ憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席を維持した。さらに、16年参院選で安倍政権下での改憲に前向きな勢力を加えて3分の2を獲得。首相が翌17年の憲法記念日に9条への自衛隊明記案を提案したことで、改憲は一気に政治日程に上った。

 森友・加計学園問題の影響で足踏みしたものの、首相は昨年の自民党総裁選で再びアクセルを踏む。自衛隊明記論を争点として繰り返し訴え、総裁選後の党人事では側近の下村博文・元文部科学相を憲法改正推進本部長に据えた。さらには野党との交渉を担う衆院憲法審査会の与党筆頭幹事は、与野党協調路線の中谷元・元防衛相から、新藤義孝・元総務相へ交代。野党人脈が厚い船田元・元経済企画庁長官も憲法審の幹事から外した。

 しかし、下村氏が「職場放棄」と野党を批判したことが野党の反発を呼ぶなど、首相の肝いりの人事は与野党間の亀裂を深めることとなる。憲法改正のための手続きを定める国民投票法改正案の通常国会での成立が困難視されはじめた5月中旬、首相は参院選で改憲論議の是非を問う考えを表明。党幹部は「参院選後の国会で議論を進めるための野党への誘い水だ」と解説する。

 首相がめざす20年の改正憲法施行まで残り1年半。首相周辺は「首相は本気だ。参院選で3分の2の議席を維持すれば、発議に向けて一気に進むつもりだ」と話す。(松山尚幹)

■消極的な公明、自民に…

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