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(12日、高校野球福島大会 相馬東6-4田島)

 相馬東がある福島県相馬市沿岸部は漁業の街。鈴木海恵投手(2年)の母亜輝子さん(51)も「海の女」だ。刺し網漁船「福恵丸」から水揚げされる鮮魚を早朝から市場で売りさばく。

 「野球には本当に感謝しかありません」。8年前の大津波と原発事故。相馬双葉漁協では、津波で約100人が亡くなった。当時小学校2年生だった海恵君は、ショックで話ができなくなり、食事が満足に取れなくなった。

 そんな息子を救ってくれたのが野球だった。地域のスポーツ少年団の監督が「野球をやってみないか」と誘ってくれ、体育館の避難所から外へと連れ出してくれた。海恵君はすぐ野球に夢中になり、立ち直った。

 あれから8年。今は打者を相手に全力投球している。「大きくなった。見違えるほど大きくなった」

 先日、海恵君から「この夏、船舶の操縦免許を取りたい」と告げられた。「母さんはいつだって応援しているよ」。亜輝子さんはメガホンを持って叫ぶ。(三浦英之