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 (12日、高校野球大阪大会 渋谷11―2茨田・淀川清流・東淀工・扇町総合・南)

 この夏限りの5校連合チームは、最速115キロに満たない軟投派投手に勝負を託した。武器は「シンプルに遅い球」。甲子園出場経験もある渋谷を相手に、堂々と戦った。

 茨田(まった)の背番号「1」、石井大輔(3年)がテンポ良く腕をしならせる。遅い球をしっかり制球して、打者のタイミングをずらそうとした。投じる球は二つ。直球とカットボールだけだ。

 「甘い球は長打にされる。真ん中だけには投げないように気を付けよう」。バッテリーは特に走者が出た時、徹底的にコースをついた。一、七回に集中打を浴びて七回コールドで敗れたが、五、六回は、打たせて取る投球で無失点に抑えた。

 春の大会後の5月に部員不足の5校が集ってチームが誕生した。平日は各校で打撃練習やノックに取り組み、週末に練習試合やチーム練習を重ねてきた。

 エースナンバーを託された石井はこの春、上手投げから横手投げに変えた。球速は遅くなったが、力みが消えて制球力が上がった。6月の抽選会で相手が渋谷に決まり、「強打のチーム。きっとこんなに遅い球で練習していない」と石井の遅い球で勝負することでチームの考えはまとまった。

 指揮を執った東淀工の藤井雅浩監督は「最後に、これまでで一番いい試合をしてくれた」と選手たちをたたえた。98球で完投した石井は笑顔だった。「みんなに信じてもらい、僕も守備を信じて投げることができた。試合を楽しめたことが何よりよかった」