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 前回参院選の投票率は54.7%。2人に1人が投票せず、20代では3人に2人が棄権しました。メディアは盛んに報じていますが、選挙に行かない人には、行かない人の理由があるようです。(聞き手・藤田さつき、高重治香、諏訪和仁)

若者のせいじゃない 有権者に広がる諦観

泉麻人さん(コラムニスト)

 参院選の投票率って、半分くらいなのかな。今回も世論調査では7~8割が「投票に行く」と答えているようだけど、常にそれより低く出ますよね。直前になって、面倒くさくなったり忘れたりする人が多いんでしょう。上げ下げの変動はあるけれど、全般的には下降気味ですよね。

 僕自身は、国政選挙はほぼ毎回、投票していますよ。63歳なんでもう30回ぐらい。政治に関心があるからというよりは、習慣的なものです。近所の小学校に行き、立会人の前で手書きの投票用紙を投票箱に入れる。行き帰りに校庭を眺める。そんな、昭和的な郷愁を楽しんでいます。

 昔は投票日が一種のお祭りで、国民は旗日のように意識していました。でも今はすっかり日常の出来事の一つに埋没しちゃった。足を運んで投票することが生活スタイルに合わなくなってるのかも。だってわざわざ外に出ないでしょ。洋服でも本でも日用品でも、スマホでぽちっと買う。日常の他の行動に比べて、投票が面倒くさい行為になっちゃったんですよね。

 よく「若者が投票しないから投票率が下がった」なんて言われるけど、若者のせいじゃないと思いますよ。そもそも若者の割合がかなり減っているし、僕の周りの同世代を見渡しても行かない人は多いですから。僕らの世代は若い頃からノンポリ。すぐ下のバブル世代なんてもっと政治に関心ない。それに比べて、いま大学の講義なんかで会う学生はまじめですよね。若い人の方がちゃんと考えているんじゃないですか。

 ムラ社会的な政治の時代は、地元から国会議員を出すと道路ができたもんですが、今は当選しても、わかりやすい見返りはない。安倍政権も政策の善しあしは別として、長く続いてマンネリズムに陥っていますよね。有権者の側に「自分が1票を入れても同じ」という諦観(ていかん)が広がっているんでしょう。

 参院選にはよくタレント候補が出馬するけど、かつては石原慎太郎や青島幸男のような時代の寵児(ちょうじ)が出た。今のタレント候補はかなり地味ですよね。選挙戦も出口調査の結果ですぐに当確が出て、ひところの面白さがなくなりました。夜中までもつれて、土壇場でうっちゃりがあるのが醍醐(だいご)味だったのに。これだけ有権者が冷めてるのに、各局が選挙特番を構えるのは不思議です。

 いずれにしても、ネット投票やコンビニで投票できるようなシステムでもとらないと投票率は上がらないでしょうね。そもそも選挙で国会議員を決めるスタイルがいいのかな。くじ引きとかも1回やってみてもいいかもしれない。

 でも僕は、投票率が50%前後あるなら心配していません。紅白歌合戦の視聴率と同じで、がくっと1ケタに落ちることはまずないでしょう。50%が70%になろうと30%になろうと、勢力分布自体はあまり変わらないと思います。組織票の力ってのをそんなに信じてないんですよ。僕は保守寄りですが、政局を眺めて野党に入れることもある。そんなゲーム感覚でいけばいいんじゃないかな、選挙って。

     ◇

 1956年生まれ。週刊TVガイドの編集者などを経てコラムニストに。近著に「冗談音楽の怪人・三木鶏郎」。

記事の後半は、北海道大学教授の吉田徹さんと、「みらい選挙プロジェクト」の三春充希さんが登場。外国との違いのほか、政治家や教育現場の責任を指摘します。

政治への根強い忌避感 欧米はデモや陳情活発

吉田徹さん(北海道大学教授)

 そもそも投票に行くことは合理的な行為ではありません。投票に要する時間などのコストに対して、自分の一票が当落の決め手になったり政策から利益が得られたりする確率はゼロに近いからです。

 それでも投票するのは、民主主…

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