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 台湾の在日大使館に相当する台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表が、逃亡犯条例改正案をめぐり香港で続く抗議運動について、台湾の視点からの見解を投稿した。

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 最近、香港の高度な自治を保障する「一国二制度」を揺るがすとして、「逃亡犯条例改正案」に反対する香港住民らによるデモが香港中心部の街頭を埋め尽くす規模に膨れ上がった。警察がデモ参加者らに催涙弾やゴム弾を発砲し、デモ隊の一部が立法会(議会)に突入するまでに発展し、国際社会はこの成り行きを心配しながら注視している。

 とりわけ、台湾は我が身のことのように香港情勢を心配している。なぜなら今年1月、中華人民共和国(中国)の習近平(シーチンピン)国家主席が、武力行使の可能性を残したまま「一国二制度」で台湾を統一する方針を迫ってきたからだ。

 中華人民共和国が1949年に成立した際、1912年に成立した中華民国は台湾に移り、台湾が中華人民共和国に統治されたことは一度もない。

 蔡英文(ツァイインウェン)総統は、「決して『一国二制度』を受け入れない。台湾の民意も圧倒的多数が強く反対しており、これは『台湾コンセンサス』だ」と強調している。

 38年間にわたる戒厳令と強権統治の時代を経て、1990年代に民主化を成し遂げた台湾には、民主主義の後退がどのようなものであるかがよく分かる。「逃亡犯条例改正案」は犯罪者を対象にしたものだから、普通に暮らしていたら関係ないと考える人もいるだろう。だが、問題は誰が犯罪者の定義を決めるのかという点だ。

 戒厳令下にあった1987年の台湾で、国家安全法制定に反対する大規模な抗議デモが行われた際、デモの最前線にいた私は、検察に根拠不明の「侮辱罪」で起訴されたこともある。

 人権問題では、人権を弾圧しようとする政府に対して、国際社会の関心こそが政府の暴力を止める力になる。自由と民主主義を重視する台湾は、同じ価値を共有する香港の人々を応援する。