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 第101回全国高校野球選手権高知大会が7月13日、開幕した。連合2チームを含む30校計26チームの熱戦が幕を開けた。第1日は高知市の県立春野球場と高知市営球場で1回戦計4試合があった。

 県立春野の第1試合は中村が九回に無死満塁の好機を作ったが1点を返すにとどまり、高知中央が序盤に挙げた2点を守り切った。第2試合は、清水が10安打を浴びせて安芸桜ケ丘に5回コールドで快勝。高知市営の第1試合では、小津が集中打を浴びせるなどして7点を奪い、8回コールド勝ちした。第2試合は雨天のために3度も中断したが、梼原が四回までに5点を積み重ね、8回降雨コールドで高知農を破った。

下手投げ武器、来年の好投誓う 中村・渡辺裕貴弥投手(2年)

 「どこに投げても打たれる気がする」

 開会式後の開幕試合は観客も多く、想像以上のプレッシャーだった。中村の主戦渡辺裕貴弥(2年)は極度の緊張に襲われた。捕手の宗崎央汰(同)も「直球が伸びてこない」と異変を感じていた。

 一回表、高知中央の先頭打者に初球を右前に運ばれ、犠打などで2死二塁のピンチをまねいた。

 渡辺は右腕の下手投げだ。中村バッテリーは特長を生かして左打者には角度を付けて徹底して内角を攻め、打たせて取る策を練っていた。迎えた高知中央の4番で左打者の山本大介(同)にも内角を攻めた。

 だが3球目、わずかに甘く真ん中に入った直球を狙われた。振り抜かれた打球は右翼手を越え、先制の適時三塁打になった。

 中村は「一人一役、全員主役」がモットー。渡辺も自分にしかない長所を考えた。身長170センチで体重62キロと大柄ではないが、器用さが売りだった。それまでは横手投げだったが、「意外とサイドはたくさんいる」と、自分だけの武器を模索して下手に変えた。

 同じ投げ方のプロ野球ソフトバンクの高橋礼投手の動画を研究し、左足を高く上げてリズムを取る独特のフォームを身につけた。右打者の外角には下から浮き上がるように、左打者の外角にはシュート回転気味になる直球を心がけた。

 「今から抑えたら勝てるけん」。ベンチに戻るたびに先輩に励まされ、四回以降は緊張が解けた。ストライクゾーンの両サイドに直球を投げ分け、五、七、九回は三者凡退に抑えた。チームは2点を追う九回に無死満塁の好機を作ったが、あと1点が遠かった。

 横山真哉監督は1点差での敗北に「あの一球さえ丁寧にいっておけば」と悔やんだ。渡辺は「来年は最初から良い投球をし、甲子園に行きたい」と涙をぬぐった。=敬称略(加藤秀彬)