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(13日、高校野球大阪大会 花園14―6和泉総合)

 初回にいきなり10点差がついても、和泉総合の選手らは笑顔だった。途中からマウンドに上がった主将の井上爽士(あきと)君(3年)は「みんなで野球ができるのが楽しくて」。山口雄貴監督(32)は「奇跡を起こそう」と鼓舞した。

 和泉総合は8年ぶりの単独出場。2016年に赴任した山口監督が、野球経験があった井上君らに声をかけ、徐々に部員を集めた。最初は遅刻も多く、道具の後片付けもできなかったが、練習や試合を重ねるうちにチームワークが生まれ、選手たちに変化がみられた。遅刻もなくなり、練習後にはグラウンドのゴミ拾いをするようになった。

 一度野球を諦めた球児たちが熱血教師と甲子園を目指す人気野球漫画「ルーキーズ」になぞらえて、監督や選手らは自分たちのことを「リアルルーキーズ」と呼び、野球に打ち込んできた。山口監督は「やんちゃな子もいるけど、みんな野球が大好き。野球以外のところでも成長する姿が見られてうれしかった」。

 点差の広がった四回の攻撃。1死満塁で、小西雄斗君(3年)が打席に立った。「このチームでまだ野球をやりたい」。初球を右前にはじき返し、3点を返した。五、六回も連打が飛び出し、チームが得意とする打撃で一矢報いた。

 奇跡は起きなかったが、山口監督は泣きながら「めっちゃ楽しかった。120%の力が出てた。最高のチーム。もう1試合したかったな」と声を振り絞った。

 試合中はずっと笑顔だった井上君も「悔いはない。でもこれで終わりなのが残念」と涙をこぼした。(川田惇史)