健大高崎、まさかの初戦敗退 エース登板、時すでに遅し

野口拓朗
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(13日、高校野球群馬大会 高崎商大付9―7健大高崎)

 九回表2死一、三塁の一打同点機。柳沢光星(3年)のバットが空を切ると、健大高崎の選手たちは泣きじゃくった。昨夏まで5年連続決勝に進んでいた第2シードがまさかの初戦敗退。1試合経験済みの相手に対し、硬くなりがちなシード校の初戦の難しさをまざまざと見せつける試合だった。

 勝負の分かれ目は結果的に継投にあった。二回に健大高崎の集中打を浴びて逆転された高崎商大付は三回から、エースの堀野嵐(3年)をあきらめ遠藤浩斗(3年)に代えた。「相手打線のタイミングが合っていたから思い切った」と渡辺賢監督。

 早めの継投があるかもしれないと監督から言われていた遠藤は「捕手めがけて、自分のボールを投げるだけ」と思い切り投げた。3点本塁打で一度は逆転されたが、六回以降は再三走者を得点圏に背負いながら得意のフォークを駆使、適時打を許さなかった。遠藤は「直球とフォークがよかった。味方が取り返してくれると信じていた」。

 一方、健大高崎の青柳博文監督は、リードして最後をエースの笹生悠人(3年)で抑える胸算用だった。だが、先発、救援陣が相手打線の好機での集中力に屈し、守備のミスも重なって失点、逆転された。結局、エースは2点リードされたまま七回途中から計算外の登板。終盤の相手打線は封じたが、時すでに遅かった。

 青柳監督は「相手打線に打たれすぎた。思っていた以上の失点で重かった」と敗因を語り、「選手は一生懸命やってくれた。負けは私の責任」と潔かった。

 逆転の3点本塁打を右中間に打ち込んだ伊藤雄紀(3年)は「あれで流れを引き寄せ、いけると思った」と振り返り、敗因に守備でのミスと好機での適時打不足を挙げた。辻憲伸主将(3年)も「終盤の好機をつなげられなかった」と唇をかんだ。

 長打は高崎商大付の二塁打2本に対し、健大高崎は本塁打1本、二塁打6本。健大高崎は打倒前橋育英へ課題だった打力の底上げを見せたが、走者なしでの二塁打が4本。盗塁はゼロ。ここにも勝負のあやがあった。(野口拓朗)

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