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(13日、高校野球宮城大会 泉8―4涌谷)

 同点の十回表、1死二、三塁。打席に立つ泉の主将、川村昇竜君(3年)は、スクイズのサインに2球目を空振りし、2ストライクに追い込まれた。ベンチに目をやると、高橋秀夫監督がすごい形相で「お前が打て!」と全身で伝えてきた。

 「来た球を打とう」

 そう開き直り、狙い球を絞らずに集中した。周りの音が消えた。5球目の直球を振り抜くと、白球は中前で弾み、決勝の2点適時打に。一塁側スタンドの大歓声に圧倒され、一塁を回ったところで「頭が真っ白になって」転んでしまった。我妻和樹君(3年)の三塁打で生還すると、はじける笑顔で仲間とハイタッチした。

 主将として、プレーでも態度でもチームを引っ張ってきた。自分が不調でも人一倍声を出す。試合終了後には、校歌を歌った仲間が応援席に向かって駆け出す中、ひとり相手ベンチに深く頭を下げた。

 泉は昨年秋に新チームになってから、公式戦で勝利がなかった。涌谷とは練習試合で2回対戦し、いずれも敗れた。開幕戦での逆転勝利に、選手たちはベンチに戻るとうれし涙を流した。

 「開幕戦を戦うなんて、一生に一度の経験。今日の勝利は3年間で一番うれしい」(大宮慎次朗)