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(13日、高校野球岡山大会 創志学園11―2岡山南)

 最速153キロ。今春の高校日本代表候補にも選ばれた創志学園の右腕、西純矢(3年)は最後の夏の初戦、雨に苦しんでいた。二回、ぬれた指先から直球が高めに抜け始めた。3連続を含む4与四球。1本のヒットも浴びないまま、押し出し四球で先行を許し、適時打も打たれた。

 直前にあった開幕戦、一昨年の代表だったおかやま山陽が岡山学芸館に逆転サヨナラで敗れた。一発勝負の怖さを目の当たりにし、「負けたら終わりと考えすぎた」。雨の影響に加えて、力みで投球フォームも崩れ、投げるたびに帽子が飛んだ。白い帽子は何度も地面に落ちて泥だらけになった。

 そんな西を救ったのは、仲間の声だった。

 捕手で主将の横関隼(はやと)(3年)は何度も西をなだめた。「5割の力でも140キロ後半は出るから」。ボールが先行すれば、内野を守る仲間がマウンドに駆け寄る。その都度、西は笑顔で応えた。三回以降、西は落ち着きを取り戻し、四回に味方が逆転してくれた。

 昨秋の秋季中国地区大会準決勝。八回に西自身の失策から大量失点を喫し、選抜出場を逃した。横関が振り返る。「あのころは野手の誰も西に声をかけなかった。本当に西1人で戦っていた。あの後から内野が西に声をかけることを、ルーティン(決めごと)にしてきました」

 岡山南を突き放し、11―2で七回コールド勝ち。「最悪でした」と西は振り返る。ただ、この夏の戦い方を再確認することができた。「今日はみんなに助けてもらった。長い夏にしたいのは、みんな一緒。全員野球で、チームメートと力を合わせていく」(小俣勇貴