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 第101回全国高校野球選手権東・西東京大会(東京都高校野球連盟、朝日新聞社主催)は14日、雨で西大会の全12試合が中止された。東大会は予定されていた11試合のうち、神宮球場の第2試合と第3試合、神宮第二球場の第2試合の計3試合が行われた。

 東の第1シードで、3年ぶりの優勝をめざす関東一は、葛飾野をコールドで破り、初戦突破。青山学院は四回に一挙7点を奪い、大崎を、日体大荏原は着実に加点し、日本ウェルネスをそれぞれ制した。

チーム第一、声からし鼓舞 日体大荏原・松原隼矢主将

 七回の攻撃に入る日体大荏原のベンチから、それまでメガホンを手に声を出していた背番号10が、一塁側ベンチ前のコーチスボックスに立った。

 「流れが来ているぞ。突き放すチャンスだ」

 控え投手の松原隼矢(3年)だ。今大会の組み合わせ抽選会を1カ月後に控えた5月中旬に、主将に選ばれた。2点リードで迎えた終盤で、ここが勝負時とみてグラウンドから選手を後押ししたくなった。

 大会直前の就任には事情があった。103人の部員を抱える名門チームを率いる主将は、時には責務の重圧に襲われる。プレーの調子を崩すこともある。このチームでも主将が相原健志監督に辞任を申し出た。3年生の話し合いで、1年からベンチ入りしてきた松原が新主将に推薦された。

 松原は春の都大会でも登板した。同級生が投げてリードした初戦を途中で引き継いだが、逆転を許して負けた。そんな自分がどう取り組めばいいのか。自問して出した答えは、投手である前に「チームを第一に考えよう」だった。

 松原がコーチスボックスに立った七回、相手を突き放す攻撃の口火を切ったのは森田大貴(同)。松原が主将を引き継いだ相手で、より大きな声で励ました。

 「ここだぞ。気持ちで負けるな」

 森田は中越え二塁打で出塁し、安打や犠飛なども絡んで2点を追加。相手投手を想定し、ピッチングマシンで140キロの変化球を打つ練習をしてきた成果が出た攻撃だった。一方で、松原の出番はなかった。

 先発9人のうち、1、2年生が5人。相原監督は「松原も投げたかっただろうが、悔しさをがまんして、好投する2年生投手を声をからして励ましていた」と振り返った。

 試合後のミーティングで、松原が「みんなでつかんだ勝利」とうれし涙をこぼすと、選手も相原監督もつられて涙した。

 甲子園出場経験のある学校。松原の視線は先を見据える。「みんなで準備をして、一つひとつ勝ち上がりたい」=神宮(山田知英)