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(14日、高校野球京都大会 福知山成美9―1京都翔英)

 4点を追加された九回表。さらに2死二塁のピンチ。京都翔英のマウンドに2番手の今井大志(たいし)君が上がった。交代する際、先発したエース遠藤慎也君から「頼むわ」と声をかけられた。「あとがない。遠藤の分まで絶対に抑える」

 この日は決め球のツーシームの制球が定まらない。力いっぱい投げた直球を狙われ、3点を加えられた。相手打線の勢いを止めきれなかった。

 チームには「勝負飯」がある。京都市伏見区でギョーザ屋を営む今井君の母親の恵さん(42)のギョーザだ。

 試合前日に部員5人ほどで食べる。そうするとなぜか必ず勝てる。大事な試合の前になると食べるのが恒例になった。ニンニク、シソ、エビ入りを含め4種類。とくにシソとエビ入りが部員たちに人気だ。部員たちにとって、食べながら野球の話をする時間は楽しく、貴重だった。

 きっかけは1年の秋の府大会。前日にギョーザを食べ、翌日は龍谷大平安に6―5でサヨナラ勝ちした。以来、食べた翌日に負けたことがない。「たまたまかもしれないけどうれしかった」と恵さんは言う。

 この試合の前日もギョーザ30人前を6人でたいらげた。食べた翌日で初めての黒星となった。今井君は「母を甲子園に連れて行って恩返ししたかった。でも、仲間と一緒にやり切ることができた」。息詰まる強豪対決にスタンドから大きな拍手がわいた。(高井里佳子)