ピンチは直球で バッテリーのスタイル貫き「完全燃焼」

里見稔
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(15日、高校野球長野大会 上田西7-0篠ノ井)

 「落ち着いて、インコースの直球で行こう」

 五回表、上田西2死一塁。篠ノ井の捕手で主将の槙村秀介(3年)は、マウンドのエース駒村怜央(3年)に駆け寄り、こう声をかけた。既に2点を失い、迎えるのは上田西きっての強打者・宮坂愛斗(まなと)(3年)。気おされ気味の駒村だったが、槙村の一言で気持ちを切り替えて直球を投げ込み、中飛に打ち取った。

 ピンチは直球で切り抜ける――。これは春以降、バッテリーが「試合の度に話しあって決めた、自分たちのスタイル」だった。

 駒村は元々は変化球主体。ただ冬場の走り込みや筋力トレーニングで、春を迎えるころには、直球がよく伸びるようになっていた。実際、練習試合などで投げてみると、三振もよく取れた。そこで直球を勝負球に決め、変化球は直球を生かすためのものに変更。春の県大会では地区予選を勝ち抜き、今大会のBシードをつかんだ。

 そして迎えた、この日の上田西戦。駒村は試合前、槙村に言った。「今日は集大成。完全燃焼する」。初回から直球を決め球に投げ込み、序盤は無失点。中盤に入ると徐々に攻略されたものの、五回にピンチを迎えてもスタイルは貫いた。

 結果は七回コールド負け。だが、槙村は言った。「反省点はあるけど、自分たちは力を出し切った。甲子園への思いは、上田西に託したいです」(里見稔)

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